通勤しない生活を6年続けて分かったこと





2020年8月に東京から新潟に移住して、2021年から完全在宅勤務が始まって、もうすぐ6年が経過します。

通勤がなくなっただけではなく、平日は家から一歩も出ない日も珍しくありません。最初は「通勤しなくて楽」くらいの認識だったのですが、数年続くと生活そのものに変化が出てきました。

外出する人向けの道具がどんどん要らなくなった

まず、鞄、腕時計、モバイル用品、外出着などの出番が確実に減ります。スーツ、ジャケットなどの出番がほとんどなくなりました。今の在宅勤務はカメラで顔を映す必要がないので、服装もラフになります。襟付きでボタン留めのシャツ、ベルトが必要なスラックスも履きません。

クローゼットにはまだこれだけの服がありますが、厳選すれば半分以下に減らせると思います。冬のアウターなどは、年に1回ぐらいしか着ないコートは断捨離したいのですが、ごく稀に必要になるので保管しているのです。それからベルト、ハンカチ、ポケットティッシュなども必要なくなりました。

衣類はユニクロの長袖Tシャツ、ウルトラストレッチアクティブジョガーパンツを数枚ずつ保有していて、これを着回しているだけです。外出しないので、移住したばかりの頃に安い安いと喜んで買っていたワークマンの服は殆ど処分しました。ワークマンの服って屋外活動が前提の服なんですよね。

あと歩く距離が激減しますから、靴が減りません。特に革靴などの外出靴は全く出番がありません。出番がないので、ちゃんと手入れをしていると綺麗さが維持されて長持ちします。「履きつぶす安い靴」の必要がなくなったので、靴は良いものを買うようにしました。

ノートPCも持ち歩く道具というより、据え置きディスプレイ付きPCのような使い方になっています。「持ち運びやすさ」「外で使いやすいか」といった購入基準の重要度が非常に下がっています。外付けキーボードを使うので、昔は気にしていたキーボードやポインティングデバイスも使わなくなりました。

持ち運ばないので堅牢性やバッテリーの持ちもどうでもよくなりましたが、流石にデスクトップPCに置き換える気にはなりません。仕事の契約が変わることもあるでしょうから、持ち出せるノートPCであることは必須ですが、少々重くても電池が持たなくても良いです。

電車に乗らないので腕時計は必要無いですし、移動のメインは自動車ですから、スマートフォンの充電は車で出来ます。モバイルバッテリー、ハンディ扇風機なども使わないです。財布も携帯のしやすさを意識しなくてよいので、コードバンの大きな長財布を使っています。昔は小さい財布があんなに好きだったのに。

体や感覚も色々と変化します

長い間、首都圏で電車通勤をしていたころとは生活がガラリと変わったことで、加齢による変化とはいえないような体の変化もありました。

まず、音、臭い、室温、明るさなどの環境変化に気づきやすくなりました。特に変化が著しいのが嗅覚で、最近は臭いから異変に気づくというぐらいに鼻が良くなりました。「漫画の主人公みたい」とか思いましたが、あまり便利なことではありません。至るところで臭いが気になってしまうのです。

たとえば仕事部屋からリビングに下りてくると、日中に同居している両親の体臭が気になります。やはり高齢者というのは、どうしても何かしらの臭いを発するようになってきますが、あまり清潔とは言えない父の周囲から異臭がしてくるとストレスです。




それから夏場に東京の駅(写真は品川駅)に行くと、臭いが気になります。以前はあまり気にならなかったのですが、あまり外出していない地方生活となると、都会ってのは臭いで溢れています。特に繁華街は酷いです。

それから食事が完全に自分のコントロール下になります。特に昼も家で自炊したものが食べられるとか、少し食べる時間をズラす、間食を取るなども自由ですし、コストも外食より安いです。栄養バランスは確実に良くなりましたし、外食のランチで食べ過ぎる事も無くなりました。

意識してダイエットはしていますが、完全在宅勤務が始まった2021年1月に118kgあった体重が、現在は92kgになっています。これは三食が完全に自分でコントロールできる影響が大きいでしょう。

歩かなくなることで、確実に足は衰えます。ここは意識的に散歩をして歩く距離を確保します。新潟は雨が多いので、家から一歩も出ない日というのが確実に存在します。今は朝の時間に近所を30分ほど歩いてます。

しかも、在宅勤務でデスクの前に座りっぱなしです。通勤時の駅の階段の昇降、電車内でつり革に捕まって立ち続けるのは良い運動だったんだなぁ、としみじみ思います。自動車移動になると、買い物もドアtoドアで移動できるようになるので、本当に歩かないです。

環境に対して非常に敏感になるというのは、良いことではないかもしれません。静かで自然の多い地方生活に一度慣れてしまうと、首都圏の生活に戻ったら、しばらく戸惑うかもしれません。

家に対するこだわりは強くなる

家にいる時間が長くなって、しかも家が広いのが地方生活の良いところです。在宅勤務では、部屋ごとの役割を明確化して生活と仕事のメリハリをつけないと気持ちが切り替わりません。

首都圏に暮らしていた時は、家で仕事はしませんから、部屋に生活の全てが集約されているような状態が快適でした。ベッド、キッチン、リビングなどのスペースが1つの場所にまとまっていた方が合理的でした。

しかし、今は違います。仕事部屋、トレーニング部屋、リビング、寝室などを使い分けてます。今は昼間に両親が同居している関係で、仕事部屋と寝室を兼用にしていますが、リビングと趣味の部屋は分けています。家に長くいるからこそ、「どこで何をするか」が重要になっているのです。

通勤がなくなっただけではなく、生活の基準が変わった

完全在宅勤務ですが、コロナの影響でいきなり始まったので、特に深くは考えていませんでした。単純に「毎日の通勤時間がなくなるのは楽」ぐらいしか思ってなかったのです。しかし、これだけ長く続けてみると、変わったのは通勤時間だけではありませんでした。

外出するために必要だったモノの重要度は下がりました。その代わり、毎日長い時間を過ごす椅子、家具、照明、キーボード、空調、家電など、家の中で使うものには以前より強くこだわるようになりました。

体についても同じで、通勤していれば何も考えずに確保できていた歩行や運動を、今では意識的に生活へ組み込まないといけません。静かで変化の少ない環境に長くいることで、臭いや騒音などの刺激に弱くなりました。

たまに東京へ行くと、以前は何とも思わなかった人の多さや騒音、臭いに驚きます。一方で、自宅に戻るとホッとします。おそらく今の自分は、完全にこの生活に最適化されて、色々な基準自体が変わったのだと思います。

在宅勤務には良いところも悪いところもあります。6年近く続けてみて分かったのは、完全在宅勤務とは単に「会社へ行かずに家で働く」ということだけではなく、生活そのものを少しずつ作り替えてしまうものだった、ということです。