春先にスポークが切れてしまったEASTONのEA90 AEROの後輪ホイールですが、標準のR4というリアハブはストレートスポークしか取り付ける事が出来ません。普通に入手可能な汎用のスポークはJネックという根本が90℃曲がったものなので、標準のリアハブを活用して切れたスポークを自分で交換するのは難しいです。なおストレートスポークはWheelbuilder.comというサイトで入手は可能なんですが、ここ送料が非常に高いんですよね。
さて、自分のミスでR4ハブのシャフトのねじ穴を舐めてしまったということもありまして、交換用のハブを入手して手組で組み直すことにしました。ちなみに上の写真の状態が工場出荷状態の組み方で、フリー側が1クロス、反フリー側がラジアルです。Mavicのホイールがフリー側がラジアル、反フリー側がクロスというイソパルス組という変わった組み方をしていますが、その逆ですね。
なおリムのホール数は20hであり、これに対応するリアハブとなるとTNIのハブぐらいしか入手しやすいものはないです。他にもシマノの廉価ホイールをバラしてハブだけ取り出すという手もありますが、ここはおとなしくTNIのハブを調達しましょう。ハブが届いたら後はメジャーやらノギスで色々と計ってスポーク長を算出します。幸いハブのスペックはWebで公開されている情報とほぼ同じ値でした。リムはERDの数値が書いてあるものの、実際に計ってみると7mmぐらい違うので自分が計った値で計算することに。
DT Swissのサイトにあるスポーク計算機とか他のサイトにある計算スクリプトで検算もしましたが、フリー側が268mm、反フリー側で264mmと算出されました。この値をベースにスポーク販売がお得意なPAXCYCLEさんにオーダーしてみました。本来であればEASTONの出荷時から設定されているサピムのCX-RAYという一本350円ぐらいする高級スポークにしたかったのですが、ミスるとかなりの金額が無駄になっていまいます。なので、今回は14番(2.0mm)とやや太めのプレーンスポークをオーダーしてみました。
PAX CYCLEさんですが、銀行振り込みではありますがスポークだけならメール便での送付も可能という事もあり、送料がお安いのが助かります。サイトからオーダーするとあっという間に在庫確認OKのお返事が来て、月曜日に代金を振り込んだら当日中にメール速達便で発送してくれたので火曜日にはポストに投函されておりました。うーん、これは素晴らしい早さであり、今後も贔屓にしようかと思いました。
さて、必要なものは一式揃いました。今回はエアロタイプではないプレーンスポークということで20本で送料込み1400円ぐらいで収まりました。ハブがそれなりのお値段ですが、後は手間賃とこれまでにそろえた道具があれば完組ホイールを手組技術で復活させられます。一応、計測した長さでOKであれば、そのうちサピムのCX-RAYで組み直そうかと思います。
TNIのハブ(多分NovatecのOEM)とスポークのアップ写真。ハブのフランジ穴はエアロスポークが通りやすいように、ちょっとした切り欠きがあります。ベアリングがシールドベアリングなので、シマノの標準的なカップ&コーン式のベアリングよりも軽量でよく回りそう。シールドベアリングは軽量で高性能ですが、カップ&コーンが自分で簡単にグリスアップできるのに比べて、メンテナンスがほぼ出来ないです。なので、ある程度使い込んだら同じ口径のベアリングを入手して交換となります。その際に圧入工具とかが必要なのが面倒だなぁ(流石に持ってないです)。
スレッドに均一に力が掛かるようにグリスをスポークのスレッドに塗布しましょう。グリースガンでこんな感じでグリスを出して、
占いの筮竹を扱うようにコネコネしてグリスを行き渡らせます。この作業がスポークに一定のテンションを与えるために必要なんですな。
ハブにスポークを落としていきます。なおラジアル組の方は外から内にスポークを通すようにするのが良い様です。クロスする反フリー側は交互にスポークを落とします。これをリムのバルブ位置を合わせて、スポークをニップルで仮止めしていきます。ここでやはり少々計算が甘かったのか、ニップルが取り付けられなくなる。なんかおかしいなぁと見直していたら、若干ハブとホイールの穴の位置合わせが間違っていたようです。気を取り直してやり直します。
そんな訳で作業開始から1時間で仮組が完了しました。反フリー側のラジアル組のスポーク長ですが、264mmでは少々短かったようです。短い場合にはそれをフォローするためのロングニップルが使えます。通常12mmのニップルを使いますが、ラジアル組の方だけ14mmのロングニップルに交換してスポーク長を実質2mm延長出来ます。もし入手したスポークが長いとフォローが出来ないので、やや短めをオーダーした方がリカバリーが効いて安全ですな。
とりあえず今度オーダーするときには266mmにしておけばOKってことだね。あとはニップル回しで均一に締めてテンションを上げていきます。
フリー側の1クロスのスポーク。1クロスだとクロスするスポーク自体が接触することはないので、割とすんなりと組めました。かなり高めのテンションで締め上げないとなぁ。反フリー側のラジアル組は駆動方向に対する剛性が低いので、駆動時に力がかかるのはフリー側の1クロス組の方になりますからね。
ラジアル組した反フリー側はこんな感じでございます。ラジアル組はテンションをかけるのが非常に簡単で、テンションも簡単に一定になります。スポークは全て外から内に通すのがラジアル組のルールらしいので、写真のようになります。
仮組してテンションをある程度上げたホイールをブレ取り台にセットして、納得いくまで調整します。スポークはやや太めの2mmですからテンションはガッチリかけられますけど、ニップル側が破断しないように考えると軽量なアルミニップルはダメですね。今回はオーソドックスに真鍮製(ブラス)ニップルを使います。
センターが出てないと当然のように色々な所に悪影響がありますので、念入りにセンターゲージで計りながらセンターを出します。ついでにブレ取りも一緒に実施します。フリー側のテンションをガチガチに締め上げないと、キチンとセンターが出ません。ただし、エアロリムはリム自体の剛性が高いのでブレは殆ど出ずに、調整は簡単でございました。
後はテンションゲージでスポークのテンションに異常がないかを確認します。ラジアル側はほぼ均一にテンション掛かりました。クロス組の方もスポークが物理的に他のスポークとは接しないので、テンションについては安定しました。後はなじみが出てねじれたスポークが元に戻ったところで再調整ですね。
さて、タイヤはまたチューブレスタイヤを使うつもりなので、チューブレス化の作業に移りましょう。
まずはNoTubesのチューブレス化用のリムテープをホイルに2週巻きます。ロード用のホイールはリム幅が狭いので、NoTubesのリムテープでもロード用の12mmのものでないとダメです。ただ、このNoTubesの12mmのリムテープがなかなか入手困難でして、16mmのMTB用ホイールのリムテープはサイクルベースあさひの通販サイトでも購入できるのに、なぜか12?のものは海外のメジャーな通販サイトでもなかなか見かけません。
色々と探してみましたが、私が知っている限りJenson USAなら12mmのNoTubesのリムテープが販売されてます。このリムテープは気密性を高めるために張るのでNoTubesの専用品を入手したほうがよいでしょう。ちなみにこのNoTubesのリムテープですが、普通のリムテープとしても使えます。お値段もホイール前後に使えて一巻きが6ドルで購入できます。普通にリムテープを前後分の2本を揃えても600円ぐらいしますからね。Jenson USAはアメリカの通販にありがちな送料の高さなので、機会があったらまとめ買いしておくとよいでしょうな(リムテープは消耗品ですし)。
貼るときはディグリーザーを染みこませたウェスで表面を綺麗に脱脂してから貼ります。貼るときはブレ取り台にタイヤを取り付けて貼るのが良いでしょう。貼ったら手でしっかりと押さえて密着させます。
カッターでバルブ穴を開けます。あまり大きな穴は開けない方がよいです。穴が大きすぎると、この後取り付けるバルブの密着度が微妙になっちゃいますので。リムによってはこのバルブ穴を大きく開けすぎるとチューブレス化用のバルブが固定出来なくなります。この前、チューブレス化をしようとして失敗したDT SwissのR450はバルブ穴が大きいリムで、バルブ穴に沿って穴開けたら大きすぎました。
NoTubesのチューブレス化バルブを取り付けます。このバルブですが、タイヤを填めるまでは固定用のワッシャーは取り付けずにタイヤを填めてビードがリムに引っかかってから固定するようにします。チューブレスでビードが上がらない大体の原因は、だいたいはこのバルブ回りの処理が甘いことが多いですね。
タイヤはHutchson Intensiveのチューブレスでございます。このリムと組み合わせると手であっさりと取り付け出来るし、ビードも簡単にあがります。ただ、この状態では空気漏れはどうしても発生してしまいますので、注射器でNo Tubesのシーラントを40mlぐらいをバルブから注入して、空気を入れてからシーラントを行き渡るようにタイヤを傾けます。これでとりあえず空気漏れはだんだんと塞がっていきます。
そんなわけで修復したリアホイールにチューブレスタイヤをはめて、最後にスプロケットを取り付けてを作業完了。作業着手から完了まで正味2時間ほどでございました。
実際に使うにはエア漏れがどのくらいか?をもう少し様子を見て、1日ぐらいで空気が抜けちゃうのであれば、また空気を入れてシーラントが行き渡るようにタイヤ傾けて空気漏れ箇所を塞ぐという作業を行います。場合によってはシーラントを追加する必要もあるかもです。この辺はもともとチューブレス用のホイールじゃないから仕方ないですよねぇ。こういった事情もありチューブレス化については、各人の責任において実施するようにしてください。