PC4を1時間半の仮眠、入浴でさっぱりした乾いた着替えと食事でリフレッシュ出来た。
バイク置き場でまだ濡れている雨具を着込み、いきなり不快ではあるが外は雨なので仕方ない。ここから美幌の市街までは、ちょっと登った後に下り基調になのであっという間に着くだろう。
借金0で出発準備をして出て行くときに、ユメ夫妻がPC4に到着。時間には間に合ったのだろうか? かなりお疲れの様子だったので雰囲気的に聞けなかった。
ボランティアスタッフである同じクラブのHさんに見送られて、雨の中、納沙布に向けて出発である。
納沙布岬までは217kmで、金曜日の12:46までに到着すれば良い。PC4の出発は木曜日の22:20ぐらいだったから、残り時間は14時間半ぐらいある。
普通の200kmブルベなら十分行ける時間だ。峠も美幌峠がちょっと辛いだけで、後はデコボコはあるが下り基調でもある。
とにかく納沙布についてしまえば、往路の600kmは40時間制限だが、復路は緩和されて同じコースを50時間で走れば良い。
北見に戻ってきて5時間ぐらい寝ることも可能だろう。とにかく納沙布に着けば、全ては何とかなる!という目論見でPC4を後にする。
ところで余談だが、YUKI氏がTwitterで「北見といえば、クククというオヤジですが」とPC4到着を応援してくれたのですが、湾岸ミッドナイトでおなじみ、地獄のチューナー北見淳のことである。
北海道1200の直前に湾岸ミッドナイト名言集なるものを見つけて、以下の台詞はジーンときたのでスマホでいつでも見れるようにしておいた。
「やらなければできない」ことをやるから、次が生まれる
これはいつもオレ自身に言い聞かせていることなんだが
何かをやろうとした時・・・
「やらなければできない」が大事なんだ
でも人は知恵がつくと
「できるからやる」となるらしい
ああ・・・
それは結局「できないコトはやらない」だ
それではその先の走りは引き出せない
湾岸MIDNIGHT 第37巻
一人で走っている時は、常にこの台詞を噛みしめて走っていた。
深夜の緩やかな下りを飛ばして走って行く。不安はあんまり無かった。
美幌の市街で24時間営業のセイコーマートを発見。なんとイートインスペースがある。
さぁ、ここで豚丼でも食えたら奇跡が起こる…かも?
流石に23時すぎのセコマのホットシェフコーナーは寂しかったが、やはり何か食べていくとしよう。
ヘッドライトの電池も切れかけていたので、軒先で交換しようとすると雨で電池が濡れる。店内に持って行って乾いたティッシュで水滴をぬぐって冷静に電池交換。
状況はよくないのになんか余裕があるな、自分でも感心した。
更に自分でも呆れたのは、深夜0時からタルタルチキン南蛮をガラナで胃に押し込める強靱な胃腸力である。
Twitterに流すと、artsさんから即レス。ちょっとチャットのようにやりとりして和んだ
(〃▽〃)
タルタルうめぇ、ガラナ最高!とか呟くと「一人だけ世界が違う」という返信も貰った。うむ、デブ練の修行のおかげである。
出発の時にヘルメットの後頭部を支える部品が折れてブラーンと垂れ下がってしまった。あごひもをちゃんとしておけば実用上の問題はない。
これ以外の装備トラブルは皆無だったが、帰った後の掃除とか洗濯が大変だな、こりゃ~。
このセイコーマートから25kmで美幌峠の頂上である。標高は494mなので高くはないが、これまで通った狩勝峠や美園峠に比べると峠らしい峠である。
とりあえずセイコーマートをでて走り出すと、自分より30分睡眠を多く取ってPC4を出て来た編集長に追い抜かれる。流石に登りだとついて行けない。
登りはダラダラと登っていくだけなのですが、たまに道路脇にある屋根付きバス停にはもれなくランドヌールが仮眠していた。眠そうに登っている人も見かけたなぁ。
自分はコーヒー飴やブドウ糖タブレットで眠気をごまかす。そして一人で走るときにはアニソンを口ずさむのである。
そういえば編集長が歌詞カードを持ってきていたが、出番がないと嘆いていた。自分も印刷してきたかったが、スマホで準備するにとどまった。
真っ暗な峠に明るい看板。阿寒国立公園に突入らしい。美幌峠は屈斜路湖の脇を通っているのだが、この一帯が国立公園のようだ。
酷くなる雨に思い浮かぶのは「こりゃアカン」というオヤジギャグのみ。
この辺でなんともう折り返してきたランドヌールが居るではないか!。流石にちょっと速すぎないか?と思ったが、お疲れ様ですと声を掛けても無言。
3人ぐらい見かけたけど、世の中には驚異的に速い人もいるもんだ…とこの時は信じて疑ってなかった。
美幌峠の頂点に1:45ぐらいに到着。頂点には道の駅があるが、やけに多くの自転車が止まっている。
自分は調子よかったのでこのまま寄らずに下ろうと思ったのですが、よく見るとスタッフのベストを着た人がランドヌールを道の駅に誘導している。
スタッフさん「この先は天候悪化により進めません」
え?そういう展開なの?
伝説となるであろう美幌峠の夜の始まりである。
道の駅の周りに沢山止まっている自転車。自販機スペースの前には、オダックス埼玉のメンバーやら岩本会長が。
ここで先行してた編集長が出迎えてくれた。正直ホッとしているという表情。それは自分も同様。周りもきっとそうだったのだろう。
周りのランドヌール達も、この判断を受け入れているように思えた。
広い広いトイレにも自転車が止めてある。うーん、ある意味、極限的な状態である。
この道の駅に30人ぐらいのランドヌール達が滞在していた。トータルではこの美幌峠でもっと多くのランドヌール達が引き返したのだろう。
広い広いトイレの中も人で一杯だったりする。チャーリーさん、まこたさん、ぶる(F)さんとも再会。他にも見知ったランドヌール達が沢山である。
スタッフのHさんから、まーりんさんは90km先の別海町の体育館までたどり着いているという話を聞いた。どうも三船さんとかの超速い人達が、美幌峠を越えて先に進んだようだ。
ただ、別海は鉄道がないので戻ってくるのも大変である。やはり美幌峠でストップさせて、北見までの50kmを自走で戻る方が正解だろう。
やたら速く折り返してきたのは、ストップで中止を悟って、体が冷える前に下り始めた人達だったのだろう。通りで挨拶しても返事がないわけだ。
みんなとトイレでご挨拶という不思議な不思議な美幌峠の夜でした。さて、しかしどうするか…。
深夜2時ぐらいにスタッフから「正式に中止が決まった」という連絡を貰います。正直、それはもう覚悟してて、この後どうしようか?で頭がいっぱいである。
天気予報では北見周辺の金曜日の天気はイマイチっぽいし、PCとかで寝れるかも分からないから、さっさと北見から輪行して千歳から帰った方が賢明じゃないか?とこのときは思いました。
美幌峠のトイレの中でジェットスターの金曜日の夜20時に千歳を出る便が、安く取れそうだったので編集長の分と合わせて2人分をスマホで予約する。
今思えばちょっと決断が早かったかな~と思わなくもないが、とにかく頭が真っ白で「どうやって帰ろうか?」という事で頭がいっぱいだったんですよね。
完全に体が冷えてしまったので、美幌峠を下るのも大変である。着れるものは全て着て、ビニールやタオルを体の前面に入れて防寒対策をする。
今まで出番のなかったシールスキンの防水長手袋が乾いた状態であったことに感謝した。
4時をすぎて明るくなってきたところで数人のランドヌールと一緒に美幌峠を下って北見に折り返す。とにかく寒い。
美幌峠を下っている間は雨だったが、麓の方まで戻ってきたら雨はあがった。
自分はミートテック装備だし、防寒装備も沢山あったので安全に下ってこれたが、人によってはヤバかったと思われる。
美幌町の市街に戻る途中、札幌方面の空は明るく晴れてきていた。納沙布方面は黒い雲がかかっていた。
やぁ、なんとか生き残りましたね、という感じである。正直、この時点ではこの天候なら仕方ないな~と納得してまして、あまり悔しくなかったです。
既に今日中に東京まで戻る段取りをもう決めちゃっているんですから、弱々で撤退だけは早いイタリア軍のようですね~と冗談を言いながらサイクリング。
幻想的な青空。なんていうか、やっと北海道だなぁという風景をゆっくり楽しめました。
美幌峠を登る前に寄ったセイコーマートにまた立ち寄って、ホットシェフをみるが早朝だけあって空っぽ。
残念ながら今回の北海道では豚丼は全く食べられませんでした。
(*´д`)ヤダァ!!!
先に北見のPCに戻ったまこたさんが写真を載せているカレーが美味しそうだったので、さっさと北見に戻りましょう。やっぱり風呂とメシが優先。
美幌町の郊外にたたずむ飛行機と青空。こういう事態は想定してなかったので、観光する気にもなれないしなぁ。
このトンネルを超えると北見の休養村センターである。すっかりサイクリング日和になりましたが、根室方面は記録的な大雨で大荒れだったそうです。
まーりんさんを含む別海組は三船さんの機転でレンタカーを複数台借りて、一路札幌を目指すという、不謹慎ながらちょっと羨ましい状況になったそうで。
北見の休養村センターに到着スッカリ晴れてます。ドロドロになった自転車もここで洗車できます。
日差しがとても強くて、ちょっと日向にいるだけでジリジリと日焼けしちゃいますね。
装備を取りはずして水を掛けて輪行に支障がない程度には綺麗にしました。人間の方も風呂に入ってさっぱりしたのであります。
洗車しているときにユメさんにお会いしましたが、ギリギリでPC4のClose時間に間に合わず、そのまま待機してたそうな。
PIPIちゃんにもここで会いましたが、浴衣を着てノンビリモードでした。連続パンクにディレイラー不調だったそうで残念でした。
しかし、今回のAJ北海道のスタッフの心労と苦渋の決断には本当に同情します。
本当に素晴らしい運営で、不満は全くありません。本当にありがとうございました。
納沙布に詰めていたiwanさんに会えなかったのは残念ですが、飛行機を取った時点では日曜日の懇親会が開催されるか不明だったので帰る事を優先しました。
サッパリしたらまたお腹が減ってきました。よし、金曜日はカレーというのがニクイじゃないですか。海軍の伝統ですな。
当然、大盛りにして頂きます。真っ赤な福神漬け、いいじゃないか、いいじゃないか、と孤独のグルメモードへ。
このカレーが本当に美味しくて、たっぷり食べてしまいました。今回のブルベ中のベストはこのカレーです。
さぁ、どうするかな~という感じのランドヌール達。私と編集長は10時に北見を出る特急で札幌に戻って、夕方には千歳です。
そこで時間をつぶして20時の飛行機で成田に帰ります。いやぁ、よくチケット取れたもんだ。
メロンとパインも美味しく頂きましたよ。
自転車を乾かしたり、帰るための計画を練ったりと、まったりした時間が流れていきます。
そういえば一足先に戻ってきていたチャーリーさん、まこたさん、ぶる(F)さんは寝てるようで会えずじまい。
まーりんさんは別海組ということでレンタカーで札幌に向かう途中である。
AJ北海道のスタッフおよびボランティアスタッフの方にお礼を言って、北見駅に向けて自走することに。
いやぁ、しかしですよ、ものすごく良い天気な訳ですよ。けーこさんを初め、札幌まで自走で帰るという人が沢山居るのに驚いた。まぁ、今の天気ならそういう判断になるわな。
自分もこの天気ならちょっとぐらい走っても良いかも?と思ったけど、飛行機を取っちゃったしホテルもキャンセルしちゃったから、完全に後の祭り。
この後、居残り組の自走札幌戻りレポートの写真が、絶景、旨い食べ物のオンパレードで辛い。
何せ時間の縛りがなくなって、あと2日間の自由なサイクリングの時間になったわけですから、そりゃSNSにアップしまくりだよな。
自分と編集長は北見駅から輪行して帰ります。駅で自転車をパッキングして、ビールビール。
K野夫妻も輪行で札幌まで戻るという。で、札幌に滞在してしばらく観光だそうな。うーん、羨ましいぞ。
あっという間に撤退を決めた、弱小イタリア軍の我々二人は輪行ビールとしてクラシックを開けるわけです。
この直前に駆逐艦「痛風」が配備された編集長ですが、ここでビールは流石に我慢できず…。
長い長い電車の旅の末、千歳に着いたら自転車を置いてグルメを堪能しに行きましょう。
いやぁ、もうね、本当に疲れましたよ。
セコマの豚丼を食べられなかったので、千歳空港のグルメストリートで豚丼と味噌ラーメンセット。
美味しかったけど、後からまこたさんが帯広に行って豚丼をアップしてたのに余裕で負けた
ヽ(´Д`;)ノアゥア…
千歳空港内の銀座ライオンにてツマミのジンギスカンを頼んで、一杯やるわけですよ。
こんな感じでクラシックの大ジョッキをプハーっと開けるんですが、自走している参加者の楽しそうな写真の方が気になって、イマイチ心は晴れません。
うーん、苦労して休みを取ってきて、ここまで走ったのにもう帰っちゃうの?と自分の早すぎる決断をちょっと後悔。
まぁ、甘いものでも食べればちょっと気が晴れるかな?と空港ソフトを食べる。
美味しかったんだけど、この辺りから猛烈に悔しくなってきた。
うーん、走れるだけの調子の良さはあったんだけど、中止になってホッとしている自分のふがいなさが嫌になります。
この辺からSNSとかTwitterのチェックは北海道1200のほとぼりが冷めるまでやめることにしました。
※Blog更新のSNS連携は自動的にするように設定してます。
20時に飛ぶ予定だった飛行機は成田悪天候の影響による使用機材の到着遅れで21時出発となりました。成田からだと終電ヤバい?
予想通り、22時半すぎに成田に到着して手荷物を受け取ると、京成は全て終電時刻を過ぎたばかり。おまけに輪行袋が重すぎて、ショルダーストラップがすっぽ抜けて袋を落とすというのが2回も発生。
うーん、ディレイラーとか大丈夫かな? ダッシュでJRの最終には乗れたので東京駅までは無事にたどり着けそう。
その帰り道はずーっとドヨーンとした雰囲気で、今頃になって中止になった実感が沸いてきて放心状態です。
うーん、もういいやどうにでもなれ!ってな感じで、深夜1時過ぎにJR田町駅の駅前で自転車を組み立てて自走で自宅に帰ります。
幸い自転車にダメージはなく、ゆっくりと組み立てて、洗車したとはいえドロドロの愛車に満載の荷物で走り出します。
これが健気にも北海道を走り出した時と全く同じようにスムーズに走るんですよ。
ヽ(´Д`;)ノアゥア…
天候に翻弄され、自分の決断にも後悔し、やや呆然としてましたが、唯一裏切らなかったのは自分の愛車でした。
正直、ちょっと涙が出ました (;´Д⊂)
第一京浜の品川駅から続く長い長いタクシーの行列を避け、白金高輪の坂を登って、終電が終わって金曜の夜に右往左往する酔っ払いが徘徊するJR五反田駅を重装備の自転車で下ります。
「あー、気持ちいい! やっぱり自転車は最高だわ!」
と、やっと自分を少し取り戻したのでありました。
そんな訳で私の北海道1200はこれで終了です。
AJ北海道のスタッフの方、ボランティアスタッフの方、会場でお声がけ頂いたBlogの読者さん、一緒に走った皆さま、本当にありがとうございました!