OPPO HA-2で快適なポータブルオーディオを楽しんでいたのですが、HA-2の性能を活かすにはもっといいイヤフォンに交換したいな~と、たまたまヨドバシカメラで色々と試聴したりしてました。
2000円台とは思えない音がするXiaomiのイヤフォンと比べると、値段の割にイマイチだよなぁ…というイヤフォンが多い中、一機種だけ「これはかなり良いんではないか?」と自分の好みに合ったのが、オーディオテクニカのATH-CKS1100です。
しかしお値段が2万円強という、これまでに使ってたイヤフォンの10倍近いお値段がします。しかし、この音は捨てがたい…しかも、リケーブル出来る!ということで清水の舞台から飛び降りました。これが割と大正解でして、ATH-CKS1100は噂通りの高音質でした。
上の写真のように日常的に使っていますが、重低音を重視するモデルながら高音の鳴り方が非常に繊細なところが気に入りました。この鳴り方ならば変な ヘッドフォンにも負けないぞ!という音がします。
もっともイヤフォンとしては、かなり大型なモデルなんで装着感が気になりました。ジョギングとかで使うのは厳しいかも? ウォーキングぐらいならば問題ありません。装着に関しては色々工夫も出来ますしね。
ATH-CKS1100は評判の良いイヤフォンですから、音質のレビューはネットで沢山見つかると思うので、この程度にしておきます。私の感想は「低音重視の作りながら、高音も繊細に鳴って全域でバランスの良い音がする」という感じですね。
自分の場合、外出時の音楽はiPhoneにHA-2を繋いで聴くのが常でございます。嵩張りますが、この音質は捨てがたいです。HA-2は実際に歩きながら聴くという運用を考えると、大きさ的にはこれが限界でしょう。
ATH-CKS1100をそのままHA-2に繋いで聴くのでも十分といえば十分ですが、アンプの力をフルに発揮させるには、左右の信号線のアースを分離させて4極プラグによるグラウンド分離(バランス駆動化)にする必要があります。
4極プラグ化によるグラウンド分離とバランス駆動化とは
OPPO HA-2のヘッドフォン端子は普通のステレオミニプラグ(3極)と4極のミニプラグにも対応しています。
ちなみに上の写真OPPOが販売しているヘッドフォン用の4極ケーブルです。ピンの黒い筋が1本多いのが分かると思います。
ちなみにピンアサインはこんな感じになってます。普通のミニプラグは3極でして、L-とR-をまとめてますが、4極はL-とR-を別々にアンプと繋ぎます(バランス駆動化と言います)。こうすることで左右で異なる信号の影響を受けにくくなって音が良くなるという理屈ですね。
ポータブルオーディオの世界では、このバランス駆動化&ケーブルを交換して音質をアップさせるリケーブルという手法が流行ってます。HA-2以外にも4極プラグによるバランス駆動に対応したヘッドフォンアンプや携帯プレイヤーも増えてきてます。
しかし、普通のスマホやiPodなどの音楽プレイヤーは4極プラグによるバランス駆動には対応してません。スマホのヘッドフォン端子は4極のミニプラグを使えますが、あれは通話用にマイクの信号を追加したものなので音楽再生用に4極化したものではありません。
4極化してしまうと、普通のスマホやプレイヤーでは使えなくなってしまいますが、ATH-CKS1100自体はイヤフォン本体とケーブルが上記のように分離できます。
サードパーティーからリケーブルされた4極プラグのケーブルが発売されればいいんですが、ATH-CKS1100のイヤフォン取り付け部の端子はこの機種独自のもののようで、一向にサードパーティー製のケーブルが発売されません。
せめて純正で交換ケーブルが買えれば、4極化に改造した後でも、必要に応じてケーブルを付け替えることで普通の3極のイヤフォンとして使えるます。なにせATH-CKS1100は安くないですから、元に戻せないとHA-2以外で使えないのは少々辛いです。
でも、HA-2の性能をフルに活かせる4極バランス駆動化をしないのも勿体ないですし、いずれ交換ケーブルが入手できるようになることを祈って付属のケーブルを改造しちゃいましょう。もし、他の機器に接続したくなったら、また自分でプラグを付け替えますわ。
ちなみにHA-2のバランス駆動化は3.5mm 4極ミニプラグが必要です。世間ではイヤフォン用のバランス駆動化のミニプラグは2.5mmのものが多いので、こういう意味でもサードパーティーからHA-2で使えるケーブルが発売される可能性は低いですね。
ATH-CKS1100を買う人ってやはり音質にこだわりがあるでしょうから、交換用のリケーブルが全く発売されずモヤモヤしてそうな人が多いですよね。そんな訳で私が人柱になって改造しちゃおうと思ったわけです。
早速改造しましょう
HA-2にグラウンド分離によるバランス駆動化をするための3.5mm 4極ミニプラグですが、オヤイデのロジウムメッキのものが入手しやすいので、これを買ってきます。
ATH-CKS1100のプラグ部を分解します。ペンチで外装部をはぎ取って中身を取り出すとこんな感じ。ちゃんとケーブルがLとRで分かれていて、皮膜を剥いたら中にプラスとマイナスの信号線が入ってました。
根元のケーブル保護用のゴムの部分は流用することにしましょう。このゴムの部分はケーブルに接着は、されていなくて自由に動かせるようになってました。あとは思い切って3極プラグの根元からケーブルをブツンとカットしちゃいます。
オヤイデのプラグにそれぞれをハンダ付けしていきます。ロジウムメッキは半田のノリが悪くて苦労しました。ハンダ付けに慣れていないと、割と絶望感が漂う作業で、自分も苦労しました。マスキングテープなどでケーブルを止めつつ半田付けしていきます。
瞬間接着剤を上手く活用したり、ハンダが馴染みやすいようにヤスリでちょっと表面を荒らしたりして何とかハンダ付けしたという状況です。間違えないようにテスター等で通電をチェックしつつ作業しました。
ハンダ付けが終わったら、この状態で何度か音楽再生してチェックします。できれば音源にL-Rのチェックが出来るようなテストトーンが入っていると作業が捗ります。ここでしっかりと作業しないと、使い始めてしばらくすると接触不良が出ます。
まぁ、接触不良が出ても分解して自分で修理すればいいんですけどね。
ケーブルにテンションが掛かったときにハンダがとれないようにするには、グルーガンを使って樹脂を固めてやります。Amazonとかで2000円以内で買えます。
あんまり使わない工具なので、エポキシ樹脂の接着剤などで固めちゃおうか?と思いましたが、接着剤だと後で分解する事が不可能になりそうなので、大人しくグルーガンを買いました。
ハンダ付けした部分を保護するようにグルーガンで樹脂を流し込んで固めていきます。しっかりと固めると分解は大変そうだけど、パテとか接着剤で固めたら分解は不可能でしょうから。この後、上にカバーを被せるので、あまり樹脂を盛りすぎないようにします。
実際、後から修理で一度分解しましたが、なんとか樹脂の部分を取り除くことができました。ただ、ハンダ付けの部分も取れますから、ケーブルの被膜剥きとハンダ付けはやり直しでしたけど。グルーガンで固めるのはちゃんとハンダ付けが出来ていることを確認してからにしてくださいね。
あと、ケーブル自体もプラグの根元にある端子をカシメて、しっかり固定されるようにしておきます。
最後にカバーをしっかりねじ込んで作業終了。プラグの根元には、元々付いていたゴムのケーブル保護の部分を通して断線保護とします。オヤイデからプラグ根元の保護ゴムは発売されているようですが、プラグなどはヨドバシやAmazonで買えるのですが、保護ゴムは入手困難だったので流用できて助かりました。
そんな訳で4極化に改造は完了です。プラグ自体は1500円ほど、グルーガンも合わせて3000円ぐらいで改造できました。ホントはケーブル自体ももっと良いものに交換したかったのですが、イヤフォン部分の端子が手に入るようにならないとケーブル自体の改造は難しそうです。
オーディオテクニカさんもリケーブル出来るように脱着可能な端子にしてくれるのはいいんですが、独自規格にもかかわらずメーカーが部材や交換用ケーブルを発売してくれないとユーザーとしては困ってしまいますね。
なお改造はat own riskでやるのが基本です。自分もかなり悩みましたが、4極化することでの高音質化は明らかに分かるレベルと音の分離がよくなりました。おかげで毎日、いい音を持ち歩けるわけです。
HA-2とiPhoneはこうやって持ち歩いてます
ちなみにHA-2ですが、iPhone6とピッタリです。Plusだとサイズが大きすぎて使いにくいです。iPhone6のカメラの出っ張りも、HA-2の革外装で出来た段差のおかげでHA-2とカメラが接触することなく重ねられます。
この重ねて持ち歩くというスタイルですが、色々と不便にはなります。でも、高音質な音楽を持ち歩けるというメリットから我慢して使ってます。付属のシリコンバンドで重ねるだけだと画面の一部が見えなくなったり、ホームボタンの指紋認証が使えなくなったりするので、自分なりに工夫して重ねています。
まずクルマのダッシュボードなどにスマホ貼り付ける目的で売っている粘着シートを調達します。Amazonで100円程度で買えます。これをカットしてHA-2の革の上にベッタリとはって、その上に透明なケースを貼り付けます。
これだけだと固定力に不安があるので、上の部分だけゴムバンドで止めます。HA-2に付属のシリコンバンドは幅が広くて、そのままだと画面やスマホのスピーカーを塞いでしまうので、自分はタイヤチューブを細く輪切りにしたものを使ってます。
タイヤチューブをカットしたものなら安価にいくらでも手に入ります。Amazonとかでシリコンバンドが2つで500円とかで売っているのをみて、たかが輪ゴムっぽいものにそんなに出せるか!ということで思いつきましたが、これは自分としてもヒットです。実際、かなり丈夫で3ヶ月ぐらい使っても切れないです。
上だけゴムで止めて、後は粘着シートの粘着力で固定します。これでiPhoneとHA-2はピッタリ固定出来ますね。粘着シートも何度か剥がしたりしてますが、少々粘着力が落ちても問題ないです。
iPhoneだけで持ち出すときは、カバーからiPhoneを抜けば粘着シートとカバーの固定はそのままで持ち出せます。HA-2とiPhone本体はUSBでデジタル接続しますから、ヘッドフォン端子が無くなったiPhone7でも、これまでの機種と同じように高音質で音楽が聴けます。
ただ、この重ねて持ち歩く運用ですが、当然不便です。重いし、ポケットでも嵩張るし、サッと取り出してカメラで撮影することも出来なくなります。iPhone7の売りであるFelica対応も、このスタイルで運用していたら本体から外さないと運用できないですね。
重ねて持ち歩くと不便はあるのですが、HA-2はとても気に入っていまして、この夏のOPPOのキャンペーンでキャッシュバックしてたときに予備機を買っておけば良かったかな?と思うぐらいです。
これもHA-2専用に改造したATH-CKS1100のおかげでしょうか? もう3ヶ月ほど使っていますが、今のところ満足して使っています。