今年は春先からフロントキャリアに乗せる大型のフロントバッグを使ってましたが、既製品にはいろいろと不満がありました。
既製品の大きな不満として、革バンドでハンドルに止めるバッグはしっかりと取り付けは出来るんですが、ハンドルバーを握る領域が狭くなります。
それからフロントバッグを運用してみるとわかりますが、輪行や食事などの時に取り外してショルダーベルトをつけると非常に便利なのです。でも、その度に革バンドをガッチリと止めたりするのは、これはこれで結構面倒なのです。
ちなみにアタッチメントタイプのフロントバッグは上蓋が手前開きのものが少なく、強度的にもデザイン的に不満があるので最初から対象外です。
そもそもロードタイプの自転車に本格的なフロントバッグを付けるのはナンセンスな気もしますが、やっぱり輪行前提のツーリングやブルベでは便利なのです。
そんなわけでシクロツーリストのフロントバッグ特集号を何度も眺めて、ツーリング車向けのフロントバッグ+バッグサポーターを取り付けたいなぁ、と夢想した訳でございます。
6月ぐらいに田村編集長に相談してみたら、名古屋のRSAサンバックスさんならアヘッドステムに付けられるバッグサポーターも作ってもらえると思いますよ、という悪魔のささやき。
ついでに「やっぱりこういうのはサドルバッグもセットに作るべき!」と唆されて、夏のボーナスがでたばかりということもあって、フロントバッグとサドルバッグを合わせて作ってもらうことに。
紆余曲折はありましたが、いろいろなやりとりを経てバッグが納品されたのはオーダーから1ヶ月半ほどした7月中旬でした。北海道1200には間に合わなくてもよいから、納得のゆくものを作って欲しかったので、メールで何度もやり取りしました。
んでもって出来上がってきたのが上のフロントバッグとサドルバッグ。3か月ほど使いましたけど、もう手放せません。この自転車には常時、このバッグを取り付けています。バッグを取り付けた状態がデフォルトな自転車です。
撮影場所は10月に新潟に帰省した時に、弥彦山をバックに撮影です。バッグ自体は基本は田村編集長がトーエイのスポルティーフ用に作成したものをベースに、若干大柄にしてもらいました。
やり取りで苦労したのはアヘッドステム用のバッグサポーターの新設です。ここはワンオフで作成してもらいました。実車を持ち込んで採寸してもらうのが一番なのですが、流石に名古屋までは行く時間が取れませんでした。
そんなわけでデジカメで撮影した画像に採寸したサイズを添えてメールしたり、ステムを取り外して実物を送って寸法合わせしてもらいました。おかげで納品されたときは位置合わせはピッタリでした。
バッグサポーターによる取り付けだとハンドルバーとバッグの間に隙間ができますから、上ハンドルを握る場所の制約を受けません。きちんと採寸したので、ハンドルの上にGPSを取り付けてもバッグの利用に支障はありません。
3Tのアヘッドステムの下側のボルトのところにピッタリと取り付けられるバッグサポーターの金具をワンオフで作成してもらいました。バッグサポーターは金具を上に持ち上げることで、簡単に外すことができます。
フロントキャリアがありますから、ドッシリと安定した取り付け状態が維持できます。金具の下のポケットには取り外したときにつけるショルダーベルトやら輪行時にフレームに巻く保護材などを入れておきます。
上蓋は乗車したまま利用しやすい手前開き。雨天でもない限り、使用時はキッチリとファスナーを締めなくても中身がこぼれたりはしないので、使い勝手はすこぶる良好です。
前から見たところ。田村編集長モデルよりも横幅を広げていますが、それでも通常のフロントバッグよりは横幅が狭くなってます(ハンドルは440mmです)。
左右の大きなマチのあるポケットが便利でして、小さなもので走行中はあまり使わないものはこのポケットに突っこんでいます。バッグとハンドルの高さも採寸してぴったりと使いやすい高さになるようにしました。
バッグの上部にはマップポケットがあり、A6サイズにラミネートしたキューシートなどを入れておくことができます。バッグの中には食糧やら雨具などを入れておきます。
フロントバッグは輪行時にはショルダーバッグに早変わりするので、自転車を乗るときにしか使わないものはサドルバッグに入れて、カメラや貴重品やモバイルバッテリーなどの小物はフロントバッグに入れておきます。
リアのバッグはこんな感じ。オルトリーブのサドルバッグのアタッチメントを流用して取り付けます。これも手持ちのオルトリーブのサドルバッグを送って部品取りをしてもらいました。
このバッグも田村編集長が考えたバッグの色違いで、サイズは完全に同じ。ちょっとカスタマイズして上部にバンジーコードを設置してもらいました。こういうところに細かいお願いができるのがオーダーの良いところです。
ちなみに前後とも素材はナイロンなのですが、ほぼ防水ともいえる生地でして、ものすごく水をはじきます。お蔭で雨天走行でも中の物は濡れません。
サドルバッグのアップ。両脇のポケット、テールライトなどをつけるループが設けられています。バッグ自体の口は革ベルトにシューストラップ用の金具を流用したもの。簡単にしっかりと締め付けできます。
せっかくのバッグなのでリアタイヤはフルフェンダーで覆って、バッグが汚れないようにしたいものです。アダプタはオルトリーブから流用しているので、ハードな雨天ブルべが予想されるときはオルトリーブのサドルバッグLにチェンジして出走すればよいのです。
容量だけでいえばオルトリーブのLの方がたくさん入ると思います。suewのLとかはもっとたくさん入ります。しかし、使い勝手はこのサドルバッグの方がはるかに上。走行性能にもあまり影響が及ばないサイズです。
上部のアップ。こんな感じでバンジーコードが設置されてます。バッグの型崩れを招くのですが、ちょっとしたときに雨具などを括り付けておけます。
脇のポケットはアクセスしやすいのでティッシュとかワセリンとか電池などのよく取り出すものを入れておくと便利でございます。
ちなみにバンジーコードに温泉セット(着替えなど)を入れたスタッフバッグを括り付けておくとこんな感じ。簡単に容量が増やせるので便利なのです。
ツーリングでは移動は基本的に自転車になるので、ちょっとしたものを突っこんでおけるフロントバッグ、そしてバンジーコードは大変重宝します。
驟雨にやられたときのバッグの写真。とにかく撥水性が高い生地が水をあっという間にはじいてしまいます。3か月でかなりの距離を乗りましたが、よごれは最小限で済んでいるのは、この生地のおかげですかね。
正直、走ることに特化したブルべ(特に400まで)はここまでのバッグは必要ないと思うんですが、輪行も含むツーリングではこのフロントバッグは本当に便利です。
輪行ではフロントバッグをサっと外して、ハンドルから外したサイコンやらGPSを突っこみ、ショルダーベルトを取り付けて首から斜め掛けして使います。現地でちょっとした移動にはこのバッグがあればほとんど事が足りてしまいます。
私、一度、このバッグを持って電車に乗っていたら女性の方から「かわいいバッグなんですが、どこの製品ですか?」と聞かれたことがあります。自転車用のオーダーバッグなんです、と説明したら驚いておられました。
正直、値段は決して安いものではないですが、満足度は非常に高いです。ツーリング車はバッグの事も考慮して自転車を作るのだ、と田村さんに最初諭されたのですが、そのときは「いやぁ、それはちょっと本末転倒…」と思ったのですが、実際にできあがってみると、考え方としてあながち間違ってないな、と思う次第であります。
色々ときめ細かく対応して頂いたRSAサンバックスの足立さん、ありがとうございました!