ROTOR INPOWERとGarmin Vectorの出力を比べてみる

Zwiftを紹介した記事の中でGarmin Vectorの導入について書きましたが、自分のパワーを客観的に計れるという楽しさに目覚めました。

そんな訳で実車にもパワー計を付けたいな…と思っていたのですが、パワー計も色々なタイプがあります。大きく分けるとVectorのようにペダルで計るタイプ、パワータップのようにホイールで計るタイプ、そしてクランクに取り付けるタイプの3種類です。

ホイールが制限されますが、ホイールで測るパワータップは精度も高くて普及しており、お値段もこなれています。しかし、ホイールが制限されるのがどうにも面白くないので早々の除外しました。

ペダルに取り付けるタイプはGarmin Vectorが代表ですが、クリートがLOOKのKEOタイプに限定されてしまうのが実車での使用では少々気になります。やはりクリートの付け外しが多い都市部を走る事が多い自分の場合、両面キャッチのSPEEDPLAYとかクランクブラザーズは捨てがたいのです。

Vectorは自宅のローラー台に取り付けていますが、ローラー台なら一度付けたら外すことは殆どありません。左右バランスやペダリング時に力の掛かっているタイミングなどきめ細かい分析が出来ることが気に入っています。しかし、実際に乗車しているときにそれらがリアルタイムで見ている余裕はないです。また物理的にもペダルから飛び出たペダルポッドがいかにも破損しそうで、値段を考えると実車で使う気にはならないですね。

という訳で実車で使うならクランク型がいいな~と思っていたのですが、このタイプは選択肢も多いです。

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そんな中で選んだのはROTORのINPOWER。ROTORのクランクに交換してからずーっと気になっていたパワー計です。

実車での利用を考えると、パワーだけが計れれば構いません。乗車中はパワー値と平均パワーぐらいしか見ません。クランク型はSTAGESというTeam Skyが採用したことで有名になったパワーメータが「左クランク片側にだけセンサーを内蔵して、そこから計算でパワー値を算出する」というものが出てから、センサーが片側だけというパワー計がチラホラ出てくるようになりました。

レポートなどを見ていると単純にパワーが測れればよいのであれば、このタイプで問題ありません。このタイプは歪み計測センサーが片側だけでよいので、値段も安価です。前述のSTAGESに加えて、パイオニアのペダリングモニターも左クランクだけの製品がありますが、どちらもシマノのクランクでないと利用出来ません。

楕円リングへの対応などを考えるとROTORのクランクを使っていることもあり、このINPOWERが一番です。それに単純に片側センサータイプの中では、INPOWERは構造的に優れているな、と思ったわけです。

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INPOWERは左クランク側に接続されたクランク軸で歪みを測るタイプのパワー計です。嬉しいことに既存のROTORクランクのユーザーであれば、左クランクだけを購入すると安上がりで済みます。

自分は少しでも安く欲しかったので、eBayでずーっとウォッチしていて殆ど使われていない中古品を6万円弱で手に入れました。写真撮り忘れたのですが、ホントに中古なのか?と思うぐらいピカピカの物が届きました。

実は上の写真、取り付けてしまった後に外したクランクを入れてそれっぽく撮影したものです。実物は軸の中央にINPOWERのシールとシリアルNoが記載されています。なお自分は3D30というROTORの中では一番安いクランクを使っていますが、上位の3D+だともう少しお値段が高いです。

ちなみに新品で手に入れるのであれば、海外通販ではまたもやBIKE24がオススメ。ちなみにクランク無しが545ユーロ、クランク付きが671ユーロなので、クレジットカードの為替レートを考えると、それぞれ74000円、90000円ぐらいとなります。新品で買うなら価格差以上の値段でクランクを譲渡出来るのであれば、フルセットの方を買うのも手ですね。なお,BIKE24は送料が掛かるし、税関で消費税も取られるので+5000円はかかります。

 

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写真撮影し忘れたので、代理店のところの写真を拝借。通常のクランクだと中空部になっているクランク軸の中に単三電池を入れる構造になっています。

ROTORのクランクはシマノとは逆に軸が左側クランクに取り付けられています。シマノは右側のチェーンリング側から軸が生えてます。なので、使っている左クランクを取りはずして差し替えて、右側のチェーンリング側と合体させます。作業自体は30分もあれば十分です。

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上の写真も代理店のページから拝借しました。このように中央部にシリアルNoが入ってました。そして左クランク軸の部分に電池を入れる蓋がついています。

殆どのパワー計は電池がCR2032というコイン電池ですが、INPOWERは単三電池が使えます。これはロングライド派にはかなりのメリット。折角だからリチウム単三電池のようにロングライフで軽量な電池を入れるようにしておきましょう。

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Cervelo R3に取り付ける。ちなみにフレーム表面には見た目は悪くなる事を承知の上で3Mの保護テープを貼っています。

パッと見た感じでは、これまで使っているものと変わりませんね。クランク表面のINPOWERというロゴがなければ全然気がつかないレベル。

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電池蓋は結構固めでして、素手ではかなり力を入れないと開きません。コインとかでノブに引っかけてグイっと回せば開きます。確実に蓋が出来るのは好印象です。電池蓋の周りはシーリング用にグリスがたっぷりと塗られています。自分はここにリチウム単三電池を入れておきました。

このパワーメータ、見れば分かる通り計測部が完全にフレーム内に収納されまます。クランク軸の部分は熱の影響も受けにくく防水性も高そうですし、落車での破損の影響も低いそうなのが良いですね。

ペダルを足でグイっと踏み込んで2.5kg以上の力が掛かると、パワー計として作動します。Garmin Edgeとペアリングしてキャリブレーション(校正)をすれば使い始められます。Garmin Edgeからはあっさりと認識して、ペアリングは完了。校正は下の写真のようにペダル位置を6時にして、ちょっと待つだけです。

Garmin Vectorの場合、ペダルポッドの角度の算出などのためケイデンス90rpmを維持して一定時間回すなどの調整が必要なので、それに比べると簡単です。

Vectorもそうですが、INPOWERもケイデンスセンサーは内蔵しています。パワータップだと更にスピードも計れるようですね。パワーはトルク×ケイデンスですから、歪みゲージで計ったトルクだけではパワーは出ないんでしょうね。

取り付けてちょっと周囲を走ってくると、ローラー台に取り付けているVectorより明らかに高いパワー値が出る。あれれ?と思ったんですが、2台のパワー計があったら,パワー値を比較してみたいのが人情というものである。という訳で早速検証することにした。

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という訳でINPOWERのクランクにGarmin Vectorを取り付けるという贅沢をしてみます。ちなみに自分の持っているのが、新型のVectorなので、ペダルを取り付けてからペダルポッドを後から取り付けられる。この新型の方が作業性は良好だ。

Vectorの取り付けは結構面倒くさくて、左右の取り付けで同じトルクで締め付けないとバランスがちゃんと出ないという事になります。という訳でトルクレンチにペダルレンチを取り付けて35N·mで締め付ける。写真ではついてませんが、ペダルポッドの位置を「ペダルが下に来たときに路面に擦らない位置」になるように取りつける。

このペダルで外を走ったのは初めてでしたが、SPEEDPLAYに慣れた身としてはクリートキャッチが難しくて正直怖い。やっぱり、このペダルは個人的にはローラー台専用にしたい。細かいデータがEdgeで見れるのもローラー台ならば安全だけど、実走でそんなの見てる余裕ないし。

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計測は二台のEdge(1000Jと520J)で行う。そういえば、この新しいEdgeについてはまだ記事にしてなかったですな。520は可愛くて良い感じですよ。

1000JはROTOR INPOWERに接続し、520JはVectorに接続する。ちなみにどちらの機種もVectorに接続すると、クランク位置のどのタイミングで力が掛かっているか?とかペダルの外側、内側のどの辺を踏んでいるか?がGUIで分かるようになっている(サイクリングダイナミクス機能)。

残念ながらINPOWERとEdgeの組み合わせでは、このサイクリングダイナミクスは動作しない。単純にパワーが表示されるだけのようだ。

この状態で家の近所を15分ほど走ってきた。正直、信号も多く住宅街ということもあってストップ&ゴーばかりなので、データとしてはイマイチかも。

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GarminConnectでGarmin Vectorのパワーのグラフを見てみる。市街地ではずーっとペダルを回し続けるようなことはなく、加速でグイッと力を掛けたら後はペダルに殆ど力は掛かってないのがよく分かる。

感覚的にはZwiftローラーで踏んでいる時よりも値は高めに出ている。やっぱり実車だとパワーは高めに出るのか、それとも慣性のかかるスピニングローラー台だとパワー値は低い目になってしまうのだろうか?

うーん、大井埠頭とかに行って一定強度で淡々と走ったときのデータを取ってみれば良かった。Vectorはペダルという足から一番近い場所にセンサーを搭載している影響なのか、数値が安定しないように思われる。最終的にホイールで計るパワータップとかの方がパワー値は安定するだろう。

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ROTOR INPOWERで計った値を見てみる。やはり左右でパワーを計るVectorよりも値の変化が少ない。パワーの絶対値そのものはVectorよりもちょっとだけ高いが、おおむね同じ値を示している。あれれ、Vectorって実車に取り付けるとこんなにパワー値が出るのか?

INPOWERのサンプリング周波数は200Hzで、この手のパワー計の中ではかなりきめ細かい頻度で計測しています。上のグラフと比較してみると殆ど同じような傾向の値をたたき出していることが分かります。ピーク時のそのものも殆ど同じパワー値になってます。パワー計は絶対値そのものの正確でないと横並びで比較しにくいので、2台でほぼ同じ値が出たというのは嬉しい限りです。

というわけで、二台のパワーメーターの出力が検証できました。となると、なんでこれまでローラー台に取り付けたVectorのパワー値が低く出たんだろう?。やっぱり慣性で大型のフライホイールが回り続けるスピニング台特有の問題なのかな?と色々と仮説を考える。

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今回、実車に取り付けた時に、ペダルが一番下の位置になったときにペダルポッドを破損しないような位置に取り付けました。他の写真とかを見る限りでも、この位置に付けるのがスタンダードなようです。この状態でペダルポッドを取り付けて実車で計測したら、VectorとINPOWERの出力が上記のように一致しました。

ここからVectorはペダルレンチでキッチリとペダルを取り付けるだけではなく、ペダルポッドもちゃんとした位置に取り付けないと正しい値が出ないのでは?と推測して。ローラー台にVectorを取り付け直す時に、この辺を意識して上の写真のように取り付けました(クランク6時の位置でペダルポッドが90度後ろ向きになる)。

Vectorのキャリブレーションをしなおして、Zwiftで走ってみたら…ありゃ、パワー値が上がっている。INPOWER実車に取り付けた時と体感的に同じようなパワー値が出るようになりました。実はVectorをローラー台に取り付けてから、想像以上に低いパワー値しか出なくて、ちょっとショックを受けていたので、これは嬉しい限り。

以前のVectorの取り付け方だと、Zwift内のワークアウトでFTPを短時間で算出するメニューで測定してFTPは208Wしかありませんでした。自分はZwiftにも100kg超えの体重をキッチリと入れていますので、208Wだと体重が災いして速度維持が実走に比べて大変な感じだったのです。

例えば一周9kmのWatopia(Zwift内のコース)は登りもありますが信号はありませんので、自分の走力なら少なくとも1時間で25kmから30kmぐらいは走れても良いはずなのです。しかし、以前のVectorの出力するパワー値だと、1時間で20km~23kmしか走れなかったのが、取り付け直したところイメージに近い距離が走れるようになりました。これは素直に嬉しいです。

という訳で、近々FTPは再計測しないとな…あれ、しんどいんだよね。

さて、話がそれましたがINPOWERのおかげでVectorのパワー値の検証が出来ました。INPOWERのたたき出すパワー値は一発で自分のイメージ通りの値が出力された事もあって、取り付けは簡単で運用も楽そうです。正直、雨とかでCR2032電池の交換とかやりたくないんで、単三電池で300時間という電池の持ちも頼もしく、リチウム単三電池を使えば殆ど電池切れは気にしなくて良さそう。

INPOWERはまだ使い始めたばかりなので、最初のレポートとしてはこんなもんかな? 今後、実際に使ってみた時の感想とか専用のPCソフトでのペダリング解析などを試してみようかと思います。

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