ZwiftはFacebook上に色々とコミュニティとしてグループが存在しますが、海外のグループで少し気になる投稿がありました。
それは「Zwiftって体重が重いライダーが得られる恩恵が少ないのでは?」という物でした。
論調としては同意!という人もいれば、他人の芝は青く見えるだけで違いはないよ、という意見もあるのですが、自分は重量級ライダーとして感覚的にはこの意見に同意です。
Zwiftでのバーチャル走行と実走で大きく異なる点が2つがあります。
- 下りでのオーバースピードによる落車がないので、ブレーキによる減速がないこと
- 実走では速度維持が出来ず、自転車が倒れてしまい走行不能な低いパワーでも登坂出来てしまうこと
1.は重量級ライダーならば実走で必ず体験する事で、ちょっとした下りでもスピードが出過ぎて減速することによるパワーロスのことです。Zwiftはこれがありませんから、登坂して貯めた位置エネルギーは無駄なく下りで発揮できます。
2.ですが、リッチモンドのコースにあるような15%を超えるような坂だと、重量級ライダーでも200W近くだしていないと画面内のライダーが足を付いてしまい停車します。とはいえ200Wが出せれば大変遅い速度ではありますが、Zwift内で登坂は可能です。
ただ、現実には私の様な超重量級は200Wでも15%の坂を登ることは不可能で、34-28のようなインナーローでも300W以上の出力が必要となります。これで足は大きく疲労するのですが、Zwiftではそこまで高い出力を維持しなくても登れてしまいます。
実走においては、同じ出力であれば軽いライダーが有利なのは勿論です。例えばランドヌ東京で最速のS田さんは、体重は私の半分しかありませんがFTPの数値257Wは同じなんだそうです。S田さんはブルベ界ではトップクラスの速さで、私と同じ出力を維持して体重が半分になれば、あそこまで速くなれるわけです。
でもZwiftにおけるこの2つの要素は、重量級ライダーにとっては大きく有利に働くはずです。実走よりも重量級ライダーが有利になるのですから、例えばコース周回の記録は出力の大きいヘビー級ライダーばかりになるはずです。でも、Zwiftの世界では軽量級ライダーも上位に沢山顔を出しています。
で、Zwiftにおける走行感覚と実走感覚での違いを感じるのは、平坦における速度維持のために必要なワット数が大きいことです。体重が重いということは、速度維持する際に慣性の法則が強く働くので、一定の速度に達した後の速度維持は楽ちんなのです。これは実走で体重が軽い人と走るときにいつも感じます。
実走における平坦で体重の軽い人の走行と比較すると、自分は同じ速度域でも明らかにペダルを回していない時間が長いのですね。しかし、Zwiftでは足の力を少し抜くだけでガクンと減速します。よって、一定の力でペダルを回していないと速度維持が出来ません。
それから緩い下り時の加速についてもZwiftは実走と感覚が異なります。実走だと、重量級ライダーは慣性の法則と位置エネルギーの変換により「本当にこれ下っているの?」というような緩い下りでも、どんどん加速していくんですよね。Zwfitはその辺の下り時の感覚が実走と大きくことなります。
しかし、下り時の補正は前述した「いくらオーバースピードしてもOK」というZwiftの特徴から、制作者側があえて加速を鈍く設定しているのかもしれません。むしろそうでないと、軽量級ライダーが不利になってしまいます。
私は、Zwiftは慣性の影響と下り時の加速について、重量級ライダーが有利になりすぎないように数値を調整しているのではないか?と思っています。この辺が実走での感覚とズレがあり、特に平坦路でのスピードの乗りと速度維持に実装時との違和感を感じます。
とはいえ、実走で重量級ライダーが遅いのは事実ですから、結果的にはバランスが取れているのでしょう。海外フォーラムで重量級が不利であるという議論は、この実走感覚とZwift内で感覚のズレから発生しているのだと思います。