動作がやや不安定なGarminのサイクルコンピューター&ナビであるEdge800をブルベなどのメインのGPSにすることに不安がありました。Edg800は外部電源がないと200kmのブルベでも電池が持つか不安になりますし、外部給電時の防水性には難があります。
ブルベの場合、コース案内は絶対に止まって欲しくないですが、スピードやケイデンスなどのサイクルコンピューターの情報は見れなくても問題はないです。一時期、地図表示はEdge800でサイコン表示はEdge500の二台体制も試しましたが、肝心のEdge800が不安定だったり、どちらもブルベなどの長時間走行では電池切れの心配があります。
そんな訳で、色々と悩んだ末にサイクルコンピューターではなくてGPS専用のGarminのeTrex20J(日本語版)を導入してみました。
海外通販大好きでEdge800は英語版、台湾版と買ってきて使っている私ですが、今回のeTrex20では「J」がつく日本の代理店の販売する日本語モデルにしました。これはたまたま色々な偶然が重なって日本語版を選んだのですが、結果的には購入前に想像していなかった機能に大変満足です。
自分は以前シティナビゲーターというGarminの日本代理店が出している道路地図のMicroSD版のVersion11を購入しました。これは日本語化したEdge800で使うためで、日本語化した英語版のEdge800では問題なく使えていましたが、台湾版のEdge800と組み合わると何か不安定でフリーズが多発します。
なおファームアップされた現在発売されているEdge800は日本語の地図を表示することは出来ません。この辺は日本語化事情はeTrexも同様です。かろうじて台湾語版であれば何とか使えると思ったのですが、まさかのフリーズ多発で使い物になりませんでした。
Edge800の場合、台湾語版にOSMの日本語フリー地図にymapjnxで生成したビットマップ地図を重ねるのが一番コストパフォーマンスが良いでしょう。そんな訳で折角購入したこの地図はずーっとお蔵入りになってました(高いのに…)。
さてeTrexは山歩きを想定して発売されているモデルなので、デフォルトではシティーナビゲーターのような詳細道路地図がセットになっていません。その分だけ少し本体価格が安いので、既に地図を持っている自分にはありがたいです。
またeTrexには10と20と30の三種類のがありますが、10はモノクロ液晶なので除外。30と20に機能差ですが、30だと電子コンパスと高度計が内蔵されており、他にもGarminのケイデンス/スピードセンサーからのデータを拾って表示する機能もあります。海外通販なら20と30の値段差は微々たるものですが、日本語版では20が39800円、30が59800円と無視出来ない価格差になります。
自分の場合には電子コンパス&高度計は必要ないですし、ロングライドではログ取りも兼ねてedge800を併用するのでケイデンス/スピードセンサーのデータも要らないなーと割り切って20にしました。
eTrexシリーズは上のスクリーンショットのようにEdge800と変わらない表示解像度に不安がありましたが、より高精細な上位機種のOregon550TCは地図付きとはいえ10万円近い値段です。電池の持ちと最新のみちびき/GLONASS対応によるGPS精度向上がうたい文句のeTrexを考えると、上位機種は見送って正解だったと思ってます。
これから紹介する「走行中のルートに標高最高点と最低点を表示する」機能は、海外版のeTrexにUUDなどの地図を組み合わせたりOSMのフリー地図を組み合わせた場合、実現出来るか?は自分は確認してません。
ただ、自転車乗りでBlogの記事などでeTrexのこの機能について言及されているものが殆どない事から、日本語版のeTrexにシティーナビゲータを組み合わせた時にしか表示されない機能なのかな?と私が勝手に判断しただけで、海外版に他の地図でも表示される機能だとしたらゴメンなさい。
※追記
コメントでタビー氏が報告してくれていますが、UUDの地図と海外版のeTrex30との組み合わせでも高度最高点と最低点を表示する機能は動作するそうです。情報ありがとうございましたー。
この「走行中のルートに標高最高点と最低点を表示する」機能ですが、自分はこんな機能があると知っていてeTrexを買った訳ではありません。たまたまBRM120伊豆でeTrexでルート案内させたときに、この表示アイコンって何?と思ったのですが、途中で意味に気がついて「こりゃー便利だ」と感心したのです。
なおブルベの走行データはキューシートなどを元にしてルートラボでGPXデータを作成します。自分で作るときが大半ですが、忙しくて準備時間が取れない時には他の人が公開しているデータを利用させて頂くこともあり、感謝感謝でございます(どなたのデータを参考にしているかバレバレなルート名ですが…)。
GPXデータを直接編集して、タイトル名になるタグを設定したら、USBで本体に転送すると右上の画像のようにルート一覧が表示されます。
eTrexではGPXデータを読み込ませて、これをナビゲーションで利用するようにセットすると再ルート計算などはしないで、ひたすら愚直にマップを表示し続けてくれます。ミスコースしても、ルート(マゼンダ色)はそのままでずーっと案内し続けてくれます。これはブルベでは使いやすい挙動ですね。
さて、左のスクリーンショットが今回のBRM209の後半ルートの案内です。何か見慣れない山の形に↑と↓がついたアイコンが見えるかと思います。右のスクリーンショットを観れば分かりますが、ルート案内するとそのコースの上の登り下りで周囲と比較して標高が最も高い部分と低い分が分かるようになっているのです!
これが単なる峠だけでなく、標高100m以下のほんの少しの登り下りでも表示されるのです。
なお、GarminEdge800にも高度が勾配も含めて分かる機能(高度プロフィール?)がありますが、あれはルートのナビゲーションをしないと表示出来できないのです。また地図表示と高度プロフィールは別ページになっているので一緒に観れません。Edge800はルートナビゲーションをさせると電池の減りがすごく早くなるような気がするので、自分はこの機能は使っていません。
eTrex+シティーナビゲータでルート案内させると、地図上にその近辺の道路の高低差から最高度地点(↑)と最低高度地点(↓)がアイコンで表示されます。最高度地点まで来ると、とりあえずそこから先はもう登りませんので一息つけます。
逆に最低高度地点から先は大体は僅かなのですが、また登りが始まることを表しています。この心づもりが出来ていると、下りで加速した速度を殺さずに進もう、というような判断が出来るようになります。
右側のスクリーンショット画像は縮尺が荒くて分かりにくいですが、BRM209の鹿野山のマザー牧場の周辺です。スクリーンショット画像の左側の↑がマザー牧場の山の上駐車場の所、それから10%勾配を降りてもっとも高度が低いのが真ん中あたりの↓のアイコン、その後は左右にクネクネともう少し登って第二の頂点(一番右の↑アイコン)を迎えることが分かります。
ちなみにシティーナビゲーターは縮尺が荒いとブルベで走るような田舎の一本道だとこういう素っ気ない表示に成りますが、実際に走る時は300mとか200mスケールで走るのでもう少しだけ表示は賑やかになります。
マザー牧場前の縮尺をもう少し上げてみましょう。点みたいな素っ気ないアイコンがマザー牧場です。これは流石に分からないですな。で、左の↑アイコンにカーソルを合わせると、これが最高高度地点だということが分かります。
走っている時に頂点がもうすぐだと地図上で分かるというメリットは、ブルベライダーなら非常に大きいと思いますが、なんでこの機能がもっとフォーカスされないんだろう?と購入してからこういう機能がある事に気がついて、これは記事にせねば!と思った次第です。
たしかに山歩きの場合、最高高度地点が分かるのは大変有効なので、山歩き用のナビであるeTrexやOregonには当たり前の機能なのかもしれないですが、自転車乗り的にも大変便利です。だって、中原街道みたいな微妙な登り下りでもちゃんと最高点が出るんですよ、ありがたいです。
もっとも日本語版のEdge800Jじゃ当たり前!とか、シティーナビゲーターの地図データ使えばどの機種でも最高点は地図で出るよ!という事であれば、今毎こんな機能に気がついて感動している私が間抜けですな(笑)
ちなみにルート案内中に経由地距離とゴールまでの距離を表示して走ってますが、さっきの最高高度点などはこの経由地に含まれます。なので、正確に「あと○○メートル進めば頂点だ」が分かります。峠の麓から頂点まで3kmとか分かると、大体の峠のイメージが掴めますし、あと200mで頂点と分かると精神的にも楽です。
さて、eTrexの売りである日本のGPS衛星のみちびきとロシアのGLONASSのGPS衛星も使える測位精度ですが、これはもうEdgeとは別次元の精度の高さです。あまり期待はしてなかったのですが、ミスコースすると100mも行かないうちにそれに気がつく精度です。
Edge800でナビゲートしていると、300mぐらい進んだところで「む、地図のルートからずれているかも?」と気がついて、キューシートをチェックしますが、eTrexの場合にはすぐに通った軌跡が予定ルートからズレているのが分かります。おかげでミスコースのリカバリーが大変早くなって、ブルベでは大変重宝しております。
右上の画像にある衛星補足状況でも、捕らえている衛星の数が非常に多いのが分かります。誤差も2mと大変低い値になっており、これが全体的なナビゲーション精度に与える効果は絶大で、曲がり角の検出とかで「あ?、曲がるのはもう1本先だった!」という現象が明らかに減りました。
他にも同じ反射型ながらEdgeよりも見やすい液晶はヘッドライトの灯りでも確実に見えますし、電池の持ちは300から400kmのブルベならば単三エネループ2本で十分まかなえます。それ以上のブルベでも、電池警告が出たらサクっと交換すれば良いですし、外部給電による端子部の防水対策などの不安もありません。
地図の読み込みに時間が掛かるところはありますが、起動してしまえば後は縮尺を弄ったりする程度で他の操作はしませんので非常に安定しています。今回はeTrex20Jという日本語版を買いましたが、日本語入力が出来たり純正地図を快適に使えるというメリットは大きいです。
英語版とか台湾版で不安定なEdge800を苦労して使うのとは、違うレベルの安心感があります。もっとも苦労して使うのも楽しみですし、それに見合う節約効果もあるんですけどね。
円安が進んだ今、eTrex20の場合、海外モデルを海外通販で買うと約2万円、日本語版を安いところで購入すると37000円(Amazon)です。eTrex30となると価格差は大きいですが、シティーナビゲーターでしかこの道路の高度標示データがないのであれば、積極的に日本語版を選ぶ理由にもなるのですが。
※英語版Edge800に強引に日本語表示させたり、色々な地図を試したりして試行錯誤した個人の経験に基づいた話なので、導入の際には自分の責任でご判断ください。もっと安価にこういう機能を実現出来る方法もあるかもしれませんので。