つくばにあった300円の美味しいラーメン屋の呪縛

水曜日の朝は雨が落ちてきそうな空模様だったので、5時半に朝練に出発。新しいホイールとタイヤですが、今まで使ってたホイールと同じなので差は分からず。あいにく20分ほど走って雨が落ちてきたので、急遽引き返して30分で15kmの朝練でした。

帰宅して30分が経過しましたが、強い雨が落ちてきています。あのまま走り続けていたら、この雨に打たれることになっていたと思うので、今日は早めに引き返してきて正解でした。

人生でもっともインパクトのあった外食店

表題の件に移ります。今を遡ること25年前、私は仕事の都合で茨城県つくば市に2年ほど住んでおりました。西暦2000年ぐらいのことで、まだつくばエクスプレスも開通しておりませんでしたから、東京からの移動には高速バスを使っていた時代です。

筑波に住んでいた29~30歳ぐらいの時に自分の車を所有するようになりまして、それで色々なところに行きました。食欲も大変旺盛でしたし、外食もよく利用しておりました。つくばのマンションは会社の借り上げだったので、自炊用の調理家電などを持ち込んでいなかったので、ほとんど外食とコンビニ弁当やスーパーのお惣菜に頼っていたのでした。

ただ当時は若かった頃もあり、外食は無難にファミレスとかチェーンのお店などを利用していることが多かったのです。しかし、ふと気まぐれで入店したラーメン屋で大きく価値観が変わりました。

それがつくばのサイエンス大通りの近くにあった「ラーメンショップしゃるる」です。現在は閉店しておりますが、写真の看板は2004年ぐらいにデジカメで撮影したものが残っていました。

お店は今はありませんが、GoogleMapで見つけました。お店の評価は後述する閉店間際のころのものと思われます。

お店の前には広い駐車場がありまして、店内も非常に広い上に24時間営業でした。そして店の前を車で通っても目立つ「ラーメン300円」という文字。つくばは深夜も営業している美味しいラーメン屋さんが多く、谷田部インター近くの「三水」、今や全国区になった「山岡家」の元祖と言われる荒川沖店なども深夜も営業しておりました。

これらのお店と比べても普通は500~600円ぐらいするラーメンが300円、という値段には驚きました。まだ牛丼の値段が300円を切る前だったかと思います。ただ、その店舗の外観の怪しさから何度も店の前を通っていたにもかかわらず、一度も利用したことはなかったのです。

これが300円で食べられるのは素直に凄い

初めて利用したのはYUKI氏と大鳥居氏と車で出かけた帰り道でした。お腹も減っていて、丁度そのお店の近くを通るルートでつくばの家に帰宅する途中だったので、300円という値段なら不味くてもネタになればいいや、という風に思っていたことをよく覚えています。

怪しい見た目とは裏腹に昼の店内は賑わっておりまして、3人で食券機で300円のラーメンの券を購入してみました。

驚きました。300円のラーメンがこんなに美味しいなんて。他の2人も驚いてまして、特にYUKI氏は大きく感銘を受けていたようです。デジカメの過去写真を探してみたのですが、多分これが300円で出てくるラーメンに50円ぐらいのトッピングで海苔を足した状態のものだと思います。

300円で出てくるラーメンにはラーメンショップ系のスープに麺、わかめ、ネギなどが入っていて、確かチャーシューは入ってなかったような記憶があります。海苔は通常だと1枚だけだったかな? 流石に20年以上前のことなので記憶が曖昧です。麺とスープのバランスが非常によくて、ラーメンって美味しいものなのだな、と認識を改めました。

ちなみにカウンターには一人一個までと書いてある生卵が置いてあり、それを入れる事も出来ます。スープがまろやかで油もあまり多くなく食べやすかったですが、パンチが欲しい時はカウンターに置いてあるすりおろしニンニクを足しても美味しいです。とにかくスープと麺が美味しかったので、あまり具の少なさは気になりませんでした。

他にも美味しいラーメンを出すお店はつくばには沢山ありましたが、殆どのお店のラーメンはこの300円のラーメンに比較すると倍近い値段がするわけです。価格が倍だから美味しさも倍ですか?というと、そういうわけではありません。この300円のラーメンのコストパフォーマンスがずば抜けておりました。

人生で色々な外食店を利用しましたが、このお店のコストパフォーマンスを上回るお店は今のところありませんし、今後も出てこないような気がします。

ひたすら通って注文メニューを研究する

このお店の記事を書いたのは、この前YUKI氏が遊びに来た時に「300円ラーメンのインパクトと影響が外食店を選ぶときに未だに影響している」と語っていたからなのです。自分も同様です。とても美味しいので職場でも広めました。なにしろまだSNSなどは存在しない時代ですから、美味しいお店は口コミでしか広がらないのです。

24時間営業でしたが、このお店は昼時にいくと麺を茹でる人が変わるのです。その人の麺茹でが上手だったのでしょう、お昼の方があきらかにラーメンが美味しかったのです。昼以外の時間でも及第点のラーメンは出てくるのですが、昼は明らかに麺のゆで加減が抜群でスープも美味しかったのです。時間や作る人によって味が変わる、というのも初めての体験でした。

家から車で10分かからない距離でして、車通勤していた職場からだと5分ぐらいでした。なもんで、お昼時に職場から車を走らせて食べに行って、仕事終わりにまた300円ラーメンに行く、というようなヘビーな利用方法をしておりました。

だんだんとお得な利用方法を思いつくようになります。300円のラーメンに100円の半ライスを付けて、無料の漬物をご飯に載せて、無料の卵をご飯に載せて卵かけご飯にしてラーメンと一緒に頂いたりしてました。写真をよく見ると左に半ライスの茶碗と漬物がかすかに写ってますね。

それに50円で海苔をトッピングするとご飯がより美味しく頂けるので、300円ラーメン、半ライス、50円の海苔の450円が自分の中での鉄板の組合せでした。そして大盛りにすると150円増しになるのですが、麺とスープが倍ぐらいになります。大鳥居氏はライスを頼まないで大盛ラーメンをよく注文していたのを記憶しています。450円でもの凄い量のラーメンが食べられるのも幸せでしたね。

永遠には続かない

この300円ラーメンですが、つくばで仕事をしていた3年間の途中で発見したので、1年半ぐらいヘビーに通いました。仕事の都合で会社借り上げのつくばのマンションを引き払い、我孫子に引っ越したことで利用頻度は下がりましたが、それでもたまに食べに行ってました。

それから数年後、300円ラーメンという文字は消え、ラーメンは普通に500円ぐらいになっていました。

具も増えていて、チャーシュやゆで卵も乗るようになりました。当時は無かった背脂も沢山乗るようになっていました。しかし、スープと麺の味だけで私を魅了していた300円ラーメンの姿はもうありません。これでは山岡家のラーメンと変わりありません。

500円に値段があがったことが残念だったのではなく、明らかにスープと麺の味が落ちていたのです。300円ラーメンのスープは背脂がなくてもマイルドで美味しかったですし、麺はもっとシャッキリとしておりました。やはりラーメンは麺とスープが美味しくないとダメなんだ、という学びになりました。

飲食店というのは発見した時の味が最高で、そこから味は段々落ちていくという法則があります。不味かった店が美味しくなる、という例をほとんど聞いたことがありません。美味しくて繁盛すると、どうしても目が行き届かなくなるのか、それとも利用している方の期待値があがってしまうのでしょうか。なので、いつも美味しいと思えるものを長年にわたって提供してくれる店は、最大限に頑張っていると思います。

我孫子を離れて横浜に引っ越してからは、つくばに行くことはほぼ無くなりました。YUKI氏から閉店したよ、という話を聞いて残念に思った記憶があります。この「ラーメンショップしゃるる」との出会いが自分の外食店との関わりにおいての影響はとても大きいものがあります。汚いお店や初見であまり繁盛してなさそうなお店でもとりあえず試してみたり、いまだにメニューの価格に自分がシビアなのはこのお店の影響なのです。

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