新潟市に首都圏からIT企業がやってくる理由

  • 2024 年 5 月 23 日
  • 日記
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昨日の日記で「Blogのネタにしようと思っていたんだけど、ど忘れして思い出せない」という話を書いたのですが、ふと思い出したので今日の日記のネタと書きます。

表題ネタの前に今日の朝練

今週は月曜日が雨、火曜日も雨がちだったため朝練をお休みしました。水曜日は晴れていたものの霜注意報が出るぐらいの冷え込みだったのでサボってしまい、3日も朝練を休んでしまいました。今朝は休養バッチリだったので、朝6時から1時間弱追い込んで自転車トレーニングしてきました。昨晩、少し食べ過ぎたので今日は節制しないといけません。

新潟から首都圏のIT仕事をリモートでやる

おもむろに表題の話に移ります。5/21(火)の新潟日報に以下のような記事が掲載されていました。

新潟県が誘致したIT企業、34社で過去最多・2023年度

この動きは2022年ぐらいから新潟市が誘致したこともあって、首都圏のIT企業が新潟駅周辺の利便性のよいところに進出が始まって、それが2023年も増えたというお話です。自分は2022年にこの話を知ったとき、とても良いマッチングだから今後伸びるだろう、と予想してましたが、その通りになりました。

自分は新卒時に新潟県のベンチャーのソフトハウスに就職したのですが、当時から新潟の中小のソフトハウスは首都圏のお仕事を持って帰ってきて、新潟にいるメンバーが開発するというのが定番のスキームだったのです。それには何人かは東京に貼り付けておく必要がありまして、自分もその一員だったのです。しかし、結局は新卒から数年で東京のIT企業に転職しちゃいまして、4年前に新潟に戻ってくるまでの長い間、首都圏で生活しておりました。現在はご存じの通り、独立して自宅から東京のITのお仕事をリモートでやっているので、その経験からこのニュースについて解説したいと思います。

首都圏のIT企業に新潟県出身者が多い

自分は東京にいたとき、3社のIT企業に転職して在籍しておりました。最初にいた会社は150人ぐらいのベンチャーでしたが、腕の良いエンジニアが沢山集まっておりました。自分は古参メンバーでして、長く在籍して苦労したことも多かったのですが、このときの人脈が現在でも大いに役に立っています。この会社にまず新潟県人が多かったんです。全員で150人ぐらいなのに10人ほど新潟県出身者がいましたし、同じ高校の出身者が私も含めて3人いました。新潟大学の新卒者で優秀な人が続いたので、優先して人事が採用していましたし、中途採用でも入社してくる新潟県人が何故か多かったのです。とても辛抱強い人が多くて、IT業界と新潟県人の気質は合っているのだと思います。

2社目は社員数が1000人を超える大手のSIerで6年ほどおりました。ここは誰もが知っている大手企業の子会社だったのですが、ここは前述した1社目、後述する3社目と比較しても新潟県人が目立って多い、ということはありませんでした。吸収合併で大きくなって買収された会社だったので、地域的には東京の会社とは言いがたいところもありました(関西の人が多かった)。一回ぐらいは大手SIerを体験しておくのもよかろう、と思って入社したのですが、優秀で一緒に仕事してて面白い人はベンチャーの方が多いなというのが理解出来ました。大手SIerを体験するという目的は果たせましたので6年で退職し、退職金がわずかながらもちゃんと出たことはビックリしました。その分、普段のお給料はとても安かったですけれども。

3社は社員500人ぐらいのIT企業で、SIerというよりはマーケティング寄りの会社でしたが、自分がやっていることはこれまでのSI開発と変わりません。ここもSI部門には新潟県人の出身者がゴロゴロとおりました。全体の社員数に比較して、新潟県人の割合が多いのは東京のIT企業の特徴であり、それだけ高校や大学まで新潟で過ごした人が就職で東京に移住しているという証拠でしょう。新幹線が出来たことでストローのように若者が首都圏に流出していくのは、最近、北陸新幹線が開通した富山県も抱える悩みのようです。

若い女性県外流出 少子化直結 県など危機感

上の記事にもありますが、確かに女性の割合が高かったな、と思います。彼氏と一緒に新卒で新潟を出て東京へ!というような女性もおりました。といっても富山県人とは自分は殆ど会った事がなかったので、やっぱり人口の多い新潟から首都圏に流出するIT人材は自分も含めて非常に多かった訳です。

コロナによるリモート普及と首都圏の住環境の悪化

ここに2020年にコロナ禍がやってきました。IT企業はベンチャーが大手企業に先んじてリモート勤務に移行していきます。そして、なんか会社の近くに住まなくても仕事出来るよね?という流れが生まれます。大手企業はその後、出社に回帰しつつありますが、ベンチャーは人材の確保や仕事の性質からリモート勤務を継続しているわけです。

となると、私のように「首都圏で家やマンション買うのは高いし、年老いた親や実家も気になるし、新潟に帰って東京の仕事をリモートで出来ないかな」と考える人が首都圏のIT企業にいても不思議では無いと思います。その中には会社でそれなりの地位についている人もいるでしょう。となれば、社内の新潟県人を集めて「新潟オフィスを作って、東京の仕事を新潟の良い環境でやればワークライフバランスもバッチリ」と思いつく人も出てくるでしょう。自分はコロナ前にこれを思いついて、当時在籍していた会社に掛け合ったのですが、リモート勤務のOKが出ませんでしたので退職して独立しました。

コロナ禍でリモート勤務が認知されてきて、新潟県出身者が新潟オフィス構想を立ち上げた所に新潟市が支援して、新潟駅前の環境のよいところにオフィスへの入居の斡旋などが始まります。こうなればトントン拍子でお話が進むでしょう。コロナ禍でオフィス賃料が下落傾向とはいえ、まだまだ首都圏と新潟じゃ大きな差があります。それに新潟なら新幹線で日帰りも可能です。新潟県内の就職先として首都圏のIT企業という看板は魅力でしょうから、優秀な人材が一本釣り出来る可能性もあります。新潟がイヤになって東京に出たいから退職する!と言い出したら、東京オフィスに転籍というオファーも出来ます。

新潟オフィスを立ち上げた人達も、東京のマンション相場の感覚で、新潟駅前のマンションの相場を考えれば余裕で手が届く範囲の価格の物件で、会社への徒歩県内に余裕で住めます。実家の親が心配という問題も解決する人も多いでしょう。これこそ最近の新潟では少ないWin-Winな関係だと思います。

メンタルが弱った社員の受け口として活用

これは私の完全な想像に過ぎませんが、地方オフィスはメンタルをやられてしまった社員の一時の受け口としての意味合いもあると思います。

IT業界はとにかく長時間稼働からくるメンタルの問題が多い業界でして、常にメンタルをやられて休職する社員がいるといっても過言ではありません。しかし、企業としてはメンタルをやられて休職した人間を簡単にクビには出来ませんし、かつて活躍していた人材であれば復活させて以前のように活躍させたいわけです。

そういう社員が休職から復職してきたら、いったん間接部門に所属させてリハビリをさせるかのごとく扱って徐々に仕事に慣れていってもらいます。そういう人を置いておく仕事場として、新潟オフィスって理想的だと思うんですよ。首都圏よりもノンビリしてますし、通勤みたいなストレスのかかる事もありません。会社の近くに社宅として会社がアパートを借りても安いですし、まずは会社に来て貰って徐々にメンタルを回復させてもらうというのに都合が良いと思うんですよね。

実は自分も東京での1社目で、あまりにもハードな仕事が多く2回ほどメンタルやられて休職状態になったことがあります。その際に会社に色々と配慮してもらって何とか復活して仕事を続けているのですが、1社目ではそういうメンタルをやられたメンバーを預りながら仕事をする部署をやってました。ちゃんと開発もやっていて利益も出していましたが、そういうメンバーに対して無理をさせずに役立って貰えるかな?を考えれば、なんとかなるものです。

新潟みたいなストレスが少なく、週末にものんびりした過ごし方が出来るところで転地療養させたり、若手に経験を積ませるためにたまには東京から新潟オフィスに出向させたりという拠点としても良いと思います。違う環境で仕事をさせてみるっていうのは、若い時はよい経験になるのです。

これだけWin-Winな関係はなかなかありません

重要なのは、東京の会社にいる新潟県出身者が自分のライフワークバランスを考慮して、新潟オフィスを作るということです。新潟オフィスを作ることで優秀な人材を会社に引き留めることが出来ます、そして円安とアジアの成長のお陰で、かつて海外の安い労働力でシステム開発するオフショア開発は成立しなくなりました。中国のオフショア開発とか本当に大変だったので自分はもうやりたくないんです。という訳で最近は国内のニアショア開発にIT業界は回帰しています。

新潟に東京のIT企業が進出してきたときに「コメリとか亀田製菓みたいな大手企業もあるし、新潟の企業のIT化が進むか?」みたいな意見がありましたが、自分なら新潟の企業相手のシステム開発はやりません。発注金額が安いこと、ユーザーのITに対する理解度が低いことからIT会社がかなり啓蒙していかないとシステム開発が進まない事が予想されます。また地場のSI会社とバッティングするのも面倒だと思います。自分が新潟に移住するときに新潟のIT会社に転職できないか?と情報を集めたのですが、新潟の企業を相手にしたシステム開発は安くて大変なのでオススメしないという意見が大多数でした。

という訳で東京で受注したシステム開発の一部を新潟オフィスでやってもらう、というのは非常に理に適ってます。東京のメンバーがたまに新潟オフィスに出張したり、その逆をやることも社員の成長を促すでしょう。新潟と東京が新幹線で2時間で移動できるに環境は激変する、というのがポイントです。だから若者は新潟から出て行ってしまうのですが、これが少しでも戻ってくるような動きが取れていて双方にメリットがあるという意味で、このニュースには非常に注目しています。

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