自分がロードバイクに乗り始めたのは2010年でしたので、もう12年前なのですね。12年も継続している趣味というのは、飽きっぽい私の中では長続きした趣味だと言えるでしょう。
乗り始めた時は千葉県の我孫子に住んでいましたが、2011年の秋に横浜、2013年に品川区の武蔵小山に引っ越ししました。2012年から2016年ぐらいが最も熱心に自転車に乗っていた頃であり、ブルベにハマりまくっていた時期でもあります。
千葉の我孫子に住んでいた時と、横浜や品川区に住んでいた時を比較してみると、ロードバイクを乗る環境としては我孫子の方が恵まれていると思うのですが、乗っていて面白かったのは横浜や品川区在住の頃の方が上でした。ブルベ団体も周囲に沢山あったのも大きいです。
昨年から新潟に引っ越しして、冬場を除けばロードバイクを乗る環境としては申し分ない状況になったのですが、以前のように「自転車さえ乗っていれば満足だ」という心境までは至れていません。交通量は少ないし、山も海も川も近くにあるにもかかわらず、都会でロードバイクに乗っていた時に感じた「非日常感」を新潟では感じにくいのです。
ロードバイクは都会の方が楽しい?
人の価値観や何を面白いと感じるか?には個人差がありますが、私は「舗装路を走るロードバイクは都会在住者の方が楽しめるのではないか?」という仮説を立ててみました。人工の建造物や人が多い所をロードバイクで駆け抜けるとき、何ともいえない優越感のような非日常を感じたように思うんですよね。
移動手段として自転車が優秀
公共交通機関が貧弱な田舎において、移動手段として最も優秀なのは自動車です。新潟市周辺はバイパス等が非常によく整備されているので、自家用車での移動が最も便利ですし、行った先で駐車する場所に困るようなケースも殆ど発生しません。
ところが都会では、ルートによっては自転車での移動が最も早いというケースが結構あります。
自分は品川に住んでいる時、渋谷と麻布十番の仕事場に自転車通勤してました。単純にバスや電車を使うよりも、自転車が最も早い移動手段だったからです。自宅が少し駅から遠かったのと、仕事場も駅から少し距離があったんですよね(徒歩10分以内だけど)。
上の写真は白金高輪辺りの都道ですが、少しアップダウンがあったり車が多かったり、マナーの悪い自転車乗りが多かったりと大変でしたが、電車だとドア to ドアで40分かかるところ、自転車だと25分で職場に到着出来るのは非常にありがたかったです。
一番手前の青いクロスバイクが私の愛車です。職場に駐輪場があったので、それを月極で借りてました。渋谷の現場の時には近隣に一日100円の自転車コインパーキングを利用してました。晴天率も高かったので、自分は電車の定期は買わず、少々の雨ならレインポンチョで十分しのげました。
ちょっとした観光地に行くにも自転車が一番早い移動手段でした。写真は横浜の赤レンガ倉庫ですが、電車で行くのも自転車で行くのも到着する時間はあまり変わりません。ただ、周囲を少し散策するように移動するならば、自転車に勝る移動手段はないでしょう。
この「自転車がガチで他の移動手段より優秀」というのが都会において自転車を乗るモチベーションになっていた、と自分は分析しています。
都会で自転車に乗る事の優越感
都市部ではやはり自動車は時間帯によっては渋滞の影響から逃れられません。予定通り目的に付きたくても、道路が事故や渋滞で混んでいてノロノロ運転が続くとストレスがたまります。都会で自動車を所有することは駐車場のコストの問題もあって、マイカーは贅沢品です。
これがロードバイクになると。例えば江ノ島の前の海岸線の自動車がひどく渋滞していようと影響は受けませんし、東伊豆の熱海での車渋滞を尻目に、ロードバイクはスイスイと移動出来ます。慣れてくると交通渋滞に捕まっている自動車に対して、その影響を受けないロードバイクに乗っている自分に万能感を感じたりして気持ちいいんですよね。
逆に地方では交通集中による渋滞が発生する道路なんて、ごく一部のみです。ガラガラで気持ちのいい程空いている道をロードで走るのは快適なのではありますが、自動車は更に快適なようで、ロードバイクをあっという間に追い越していきます。
なので都会で感じていたような「自動車に対するロードバイクの優越感」を地方で実感することは出来ません。地方での自転車趣味というのは、自動車でドライブするよりも自転車に乗っている方が好き!というある意味、変態的な物好きに限られます。物好きは多いんですけどねw
どこに出かけても絶景、絶景、絶景、人は少ないし、世界は俺一人のモノ!という感覚は楽しいのですが、そればっかりが続くと飽きます。
社会人になってから私が住んでいた土地というのは、自分にとっては「今、一時的に住んでいる場所」に過ぎないのですが、今の土地は違います。先祖代々の土地に自分のお金で注文住宅を建てたのですから、これは死ぬまで住む土地です。ちょっとロードバイクで出かけるだけ、すぐに景色の良いところにたどりつけるんだよ!と都会の人にPRしたい自分が居ます。
最初は稲刈りをしている風景にも感じ入るところがあったようで、止まって写真など撮影していましたが、これもSNS等にアップするという行為がなければ止まって撮影するということも無いでしょう。というか「うちの方はロードバイクに乗るには最高だぜ~」ってPRしている自分に疑問を感じたりするようになりました。
自然豊かな絶景というは、都市部のゴミゴミした人工物に囲まれているのに対して飽きが早いです。以前の渋谷の現場から自宅までの約5kmの道のりを徒歩で通ったりしたこともありました。目黒川沿いから中目黒を通って、山手通り沿いに歩くと人も多く景色も変化に富んでいるので飽きることなく1時間以上の道のりを楽しめました。しかし、これが一面が田畑がつづくあぜ道に近い道を5km歩く、という事になると同じ距離でも全く印象が異なりまして苦行としかいいようがないです。
人の多さをさけるために早朝から出かけるという強制力が働く
都会では少し出かける時間が遅れると、道路は混むし、観光地や目的の飲食店も混んで利用出来ないということがあります。なので、5時とか6時とか、普通のお出かけ趣味よりも更に早い時間に出かけるようになります。輪行で遠出するときも始発でデフォルトでした。
これが結構な強制力が働いて、そのおかげで非日常感があってストレス解消にはピッタリだったんだな、というのを実感しています。ウチの近辺だと何時に出かけても道は空いているので、朝早く出かけなければならない、という強制力が働かなくなります。こうなるとロードバイクで走りに出かける時間がどんどん遅くなります。
週に2~3日は自転車に乗っているのですが、日が長くて暑い夏場は仕事が18時に終わるので、その後に1時間ちょっと自転車で走りに出かけてました。いわゆる夜練ですね。日が長い時期なら、平日しかも夜でも快適に走れちゃうのは驚きでした。
上の写真は家から10kmちょっとのところにある月岡温泉郷を夕方に通ったものです。ただし、街灯が少ないのと虫が多いので、都会のように完全に日が沈んでからのナイトランは日常的には出来ません。
同じく月岡温泉郷の夕暮れ。これが9月上旬の18時半ぐらいだったかな。良い景色でしょ? もう1時間ちょっと走ると、割と満足して家に帰りたくなってしまうんですよ。家の近所しか走ってないから「折角、来たんだから」というようなメンタリティが働かないです。
最近は1~2時間以下をちょっと高めの強度で走って帰ってくるというような自転車の乗り方をしてます。自分で組んだサーキットコースみたいなところをぐるっと1周して30kmぐらい、みたいなルートを色々と開拓しましたよ。近隣の自転車仲間もあまり居ないので、どうしても走る距離が伸びません。もちろん寄り道してジェラート食べるとかも自分一人だけの時はほぼありません。
「ゆるふわ詐欺」みたいな言葉がロードバイク界にはあります。これは「そんなに遠くないから」「そんなにキツくないから」「楽なコースだよ」というベテランの言葉を信じて着いていった初心者が、想像以上のキツさを体験した時に発せられる言葉であります。ただ、そういう外部からの強制力的な刺激がないと、走る距離や登る標高ってなかなか伸びていかないんです。
そういう意味では朝早く遠出するというのは、自転車の走力を上げるには一番てっ取り早いんですよね。気がついた100km走ってた、というのは朝早くに出発すればよくある話ですが、午後から出発して100km走る人は少ないでしょう。
周りの環境の自由度が高くて、いつでも快適に走れると走力はなかなか伸びない、というのを非常に実感する日々です。
車では必ずつきまとう駐車場という問題が無い
これも都会ならでは。自転車であれば、色々な所にいっても自転車が停められないということは皆無なので、人気のお店やスポットにフラットいけます。地方だと、殆どのところが自動車で行けてしまいますので、自転車の優位性はありません。
公共交通機関が発達していても、駅から遠い場所にある名店というは都会にも結構あるのです。ロードバイクは盗難に注意ではありますが、ちゃんと施錠して長時間目を離すことがなければ、盗難されることはないでしょう(少なくとも自分は盗まれたことがない)。
発達した公共交通機関のおかげで輪行の利便性と旅との相性がいい
コロナ以前は週末になると、本当によく出かけていました。品川駅まで自走してロードバイクをバラして袋に入れて、輪行で伊豆方面、水戸方面、高崎&宇都宮方面なんか出かけてました。朝5~6時台から郊外型の電車に乗って、早起きした分の睡眠を電車内で取り替えし、8時ぐらいから現地にてロードバイクで走り出せます。
都市部から地方に伸びる街道を自走して現地まで行くのも最初は楽しいのですが、交通量も多くてだんだんと嫌になってきます。それに到着する頃にはお日様も高く、あっという間に戻ってこないといけないという状況を輪行では回避できます。この変化に富んだ移動手段は、非日常感と旅の醍醐味をお手軽に味わえるものだと思っています。
特に自転車仲間と一緒に輪行して移動したりすると、週末は郊外型電車の自由席グリーン車も安いので、そこを陣取って車中での会話も盛り上がります。
早く現地につけるので、余裕を持って行動出来るのも輪行の醍醐味です。輪行でキャンプツーリングとか結構、行きましたね。
この自由さは都会に居たときは癖になっていたのですが、新潟に引っ越してから自宅の庭でもアウトドアグッズが使えて開放感が味わえるし、そもそも自転車でわざわざ行かなくても、荷物が沢山詰める自動車にキャンプ道具を大量に積んで快適なキャンプを楽しめばいいじゃない!という元も子もない考えに至ってます。
自転車キャンプって一人で完結することで自由を謳歌出来る人間が複数集まって、キャンプ場でシットリとワイワイやる所に醍醐味があるんでしょうね。自分は一人だけでキャンプする気になれず、最近、この趣味は封印したままです。
あと輪行ですが、やはり地方だと列車の本数が少ないため、あまり自由度の高い旅を満喫できるかというとそうではありません。あと都会では運賃が比較的安く感じるのですが、地方ではマイカーのガソリン代と運賃を比べてしまうため、どうしても運賃が高く見えて電車を敬遠しちゃうんですよね。そういえばここ1年、新潟では輪行していないですね。
ロードバイクはどこでも楽しいけど都会の方がより楽しい
これはロードバイクに限らずなのですが、やはり人口の多さとイベントの多さは都会の魅力でしょう。今はコロナでイベントが軒並み中止になっていますが、コロナ以前は目黒の自転車協会のビルで開催される自転車イベントとかよく見に行っていました。
写真は「やまめの学校」の堂城 賢さんの自転車講座ですが、他にも三船雅彦さんのウルトラロングライドの世界とか、平日の夜の仕事終わりに参加出来るのは都会ならではでしょう。地方だとショップとかが旗振りをしないと、なかなかこういう催しは難しいです。
マウンテンバイクなどでは走るフィールドの都合もあって、地方&自動車生活圏の方が優位ということもあるでしょうが、舗装路を走るロードバイクを乗るという事に関しては、東京などの大都会で住んでいる方がより楽しめる、というのが両方で自転車を乗ってみて思うことかな。
都会に住んでいると、地方に遠征して自転車に乗ったときの快適さは本当に感慨深かったです。北海道、しまなみ街道なんかは格別ですね。逆に地方に住み始めたら、あのゴミゴミした鎌倉~江ノ島~大磯あたりの国道134号、道幅が狭い三浦半島なんかを走るのがちょっと恋しくなります。
気軽に絶景スポットにたどり着けるようになった住環境ですが、自転車に乗る時間と距離はなかなか伸びません。25km~60kmぐらいで帰ってくる事が殆どです。上の写真は国道459号で津川から福島県に抜けるルートにあるトンネル区間なのですが、こんな素晴らしい景色の場所でも片道40kmで到着しちゃいます。往復で80kmですね。
ブルベとかで200kmとか300kmとかをバンバン走っていた頃からすると、現在は100km走れる気がしません。やはり強制力が働かない上に、少し走ると満足しちゃうロケーションなのですよね。とはいえ、新潟に在住のブルベ知り合いなどは自ら色々とテーマを持って長距離を走りに行ってて、流石だなぁ~と思うこともしばしば。
自転車乗るのを止めることはないとは思うんだけど、ブルベを走っていた頃のように自転車最優先の生活に戻ることはないでしょうね。
最近の装備は最低限だよ
最近は遠出しないこともあって、タイヤはチューブレスですが修理はパンク修理剤しか持って行きません。今のところ、出先でパンクしたのは1回だけでしたがシーラントで塞がったのでパンク修理を出先でしたことがありません。
1~2時間をトレーニング的に走るのにサイクルボトルにドリンクを詰めるのが面倒なので600mlとか650mlの麦茶を冷凍して、そのままボトルケージに差しています。気温高めなら1時間でも余裕で溶けますし、飲み終わる頃には大体走り終わってます。ダブルボトルが欲しくなる程走ることもないですし。
サドルバッグは着けずにツールボックス(というかツール袋)にパンク修理剤、Co2ボンベ、携帯ツール、いざという時のPEKO様謹製の超ウルトラライト横型輪行袋とブレーキシューに差すスペーサーを入れています。少しでも遠出したら、帰りは輪行で帰ってこよう!という目論見で輪行袋を入れているのですが、あいにくチキンなもので、今のところは輪行して帰ってこないといけないほど遠出することはありません。
10/5 追記
このエントリーにはSNSやコメントで色々と意見を頂きましたが、AJ札幌の元代表のヨシダさんが「自転車乗るときの空間ギャップ感」というぴったりな表現をしてくれました。ロードバイクは人力にもかかわらず結構な距離を移動出来るんですが、田舎だと走ってもあまりにも景色が変わらずに前述の空間ギャップ感を味わう事が出来ないです。都会は自転車に環境としてはよくないけど、めまぐるしく街や自然の様子が変わっていくという面白さがあります。
あと栃木在住のsoranekoさんからのコメントにもありますが、地方だと「走るだけになりがち」っていうのも確かにそうだな、と納得しました。行った先で何か立ち寄るという場所が、地方では少ないのです。少ないというよりも、自転車をからめて行くスポットの情報があまりなくて、自分で開拓していく必要があります。都会ではロード乗りの集合知により、このコースでこっちに走ったら○○に寄って美味しいものを食べて、というテンプレートが充実しているんですよね。
ウチの阿賀野市には人口の多い新潟市方面からやってくるロードバイク乗りを週末になると結構見かけます。瓢湖に水鳥を見に来たり、新潟市には山がないので五頭山でヒルクライムの練習に来たり、安田ヨーグルトでジェラートやワッフルを食べたり、というのは定番でしょう。新潟市から25kmぐらい走ってわざわざやってくる、という意味ではこれはいいテンプレートなんでしょうね。
こういうテンプレートの情報を充実させていく、という事はやっぱり重要なんでしょうね。今度、まとめてみようかな。