前回は鍋を取り上げましたが、今回はフライパンです。
実は鍋よりもいろいろな料理に使えるのがフライパン。自宅の台所では稼働率No.1なのがフライパンなのですが、アウトドアの世界ではあまり使っている人を見ません。軽量で性能のよいフライパンがなかったんですね。
自分は昔購入したトランギアのノンスティックフライパンというハンドルが取りたためるタイプのフライパンを使っていたんですが、これがフッ素加工されていて焦げ付きにくくていい製品でした。
惜しむらくは廃盤になってしまったことと重さが240gもあることです。正直、嵩張るので自転車キャンプで持っていった事がありません。しかし、時代と共に進化したアウトドア用のフライパンが発売されていました。
エバニュー Ultra Light パン
自分が「これはいい!」と飛びついたのが、エバニューから発売されているUltra Light パンです。
直径が16cm、18cm、20cmと3種類ありますが、ソロキャンプ用に便利なサイズである16cmだとカタログスペックではなんと129gという軽量っぷり。
素材はアルミなんですが、かなりペラペラな薄さ。アルミの熱伝導率の高さを考えると薄さは問題ないと思うのですが、こんなに薄くしても熱で反ったりしないのかが心配です。
表面はチタンプラズマ加工とか書いてますが、要は焦げ付かないようなフッ素コーディングみたいな処理がされています。
よく見ると底がデコボコしていますが、これが薄いアルミの底にもかかわらず強度を出すための加工のようです。ハニカム構造にすることで、熱により底が反ったりしなくなったりするということのようです。
フライパンはとにかく熱伝導率が悪いと使いにくいので、正直チタン製のフライパンというのはフライパンとしてはかなり使いにくいです。底に当てたバーナーの火の熱が底全体に素早く伝わってくれないと、真ん中だけ焦げます。
実はとても気に入ったので、18cmサイズも同時に買いました。18cmサイズは家で何度か調理に使ってみましたが、普通の家庭用のフライパンと同じように使えます。
一番したにAmazonのリンクを張ってますが、自分はYahooショッピングで山渓オンラインさんで買いました。
裏返したところ。強度アップの為のハニカム構造が見えるかと思います。裏面に容量が書いてますが、16cmモデルが900ml、18cmモデルが1200mlです。
ハンドルはパタンと底側にたたむことも可能です。ただ、ハンドルはかなり貧弱な作りなので、フライパンでお湯を沸かしたりすると重くてちょっと不安定です。普通に炒め物とか調理をしている時には不足は感じません。
とにかく薄く作ってあるので、アルミ製ですが非常に軽いです。底も深めになっていてお湯を沸かせばラーメンの麺がちゃんと浸るぐらいの水位まで水を張ることが出来ます。
重さを量ってみよう
まずはこじんまりとした16cmのモデルから。こちらは130gとほぼカタログ通りの数値です。流石にチタンクッカーには敵いませんが、フライパンとしても使えて容量が900mlもあるので応用範囲は非常に広いです。
自分的にはちょっと料理したいな~という時にはこのフライパンは必ず持っていこうと決めたぐらい軽いです。
18cmのフライパンは重さ151gです。かなり容量がアップしますが、重さは21gしか増えていません。2人分の料理をするということであれば、18cmのモデルのほうが使い勝手はよいと思います。
参考までに直径14cmぐらいのチタン製のフライパンの重さと比較してみましょう。こちらは小さいこともあって79gと非常に軽量ですが、数回の利用で焦げ付きが残るぐらい強烈に焦げます。
このフライパンで目玉焼きを作ろうとすると、油をたっぷりと敷いて揚げるように焼かないと、焼いた物が鍋底にへばりつきます。何しろチタンは熱伝導率が悪いので火を当てた所だけが火が回って、そこだけ焦げていきます。何も焦げ付き防止の加工もされていないので、正直フライパンとしての性能は低いです。
ちなみにこのチタンのフライパンはTOAKS製という事でAliExpressで購入したのですが、本物か怪しいと思ってます。蓋がついているのはありがたいのですが、今後出番はなさそうです。
この3つのフライパンを重ねてみます。丁度、3枚が綺麗に重なりました。とはいえ、チタンのフライパンを持っていく事は無いかなぁ。またフライパンを重ねる場合には、コーティングが剥がれないように何かクッションとなる布などを挟んでおいたほうがいいですね。
この大小のUltra Light パンがあれば、煮る、焼く、炒めるなどのいろいろな調理に使えるので、今度、鍋的なクッカーは一切持たずに2つのフライパンだけで現地調理するというのをやってみようかな。
ただ、フライパンは大きなゴトクの火器でないと、上で安定しておくことが出来ません。その辺は注意ですね。
実際に調理で使ってみる
自分の好物なのですが、なかなかキャンプではやりにくい料理として焼きそばがあります。BBQでは鉄板のメニューなのでしょうが、ソロキャンプだとどうしても道具が限られてしまうからです。
ガスバーナーで切ったベーコン、ピーマン、キャベツを18cmのパンで炒めたら、3パック入りの焼きそばの麺を2つ、もやしの一掴みをフライパンに投入します。
このフライパン、加工が優秀なのでなかなか焦げ付きません。流石に日の当たる真ん中から熱が入りますが、それでもちゃんと周囲の鍋肌にも熱が伝わっていて、全体的にムラなく炒めることが出来ます。
特に焼きそばの蒸し麺は熱が通らないとほぐれないので、適度にひっくり返して熱を通してから箸でほぐしていきます。フライパンの鍋肌が高めに出来ているので、こぼれることなく混ぜることが出来ます。
全体的に火が通ったら粉末ソースを入れて混ぜて完成です。いやー、家で作るのと変わらない味ですね。家だと電子レンジで麺をチンすることでほぐれやすくなるという技が使えますが、キャンプではフライパンで全て熱を通さないといけません。
麺がほぐれるまでは、炒めた野菜類に2玉の麺というのは混ぜにくかったですが、ほぐれてきたら18cmサイズのパンであれば十分調理出来ます。16cmのパンでは麺は1玉までが安定でしょう。
これはある日のお昼ご飯として、美味しく頂きました。
焼きそば調理後の鍋の状態
やはり火のあたるガスの中心の部分に少しだけ焦げ付きがあります。とはいえ、焼きそばみたいに焦げ付きやすい料理をここまで焦げ付き無しで調理出来るのは秘奥に優秀だと思います。
自宅ならジャブジャブと台所の流しで洗うのですが、キャンプでは少し水を張ってお湯を沸かして汚れと油を浮かせて拭き取るみたいな洗い方になります。でも、焦げはちょっと取れにくいですよね。
キャンプ場では現地にスポンジや洗剤、スチールウールなどが備え付けられている場合もありますが、ない場合には途方に暮れてしまいます。そこで便利な品物を発見しました。
傷を着けずに かきとる 食器洗い メッシュ クロス
これはそのまま商品名なのですが、ポリエチレン製で安価でしっかりと汚れが落ちる布なのです。
3枚入って194円と非常にお安いです。この手の布として金属の糸で編んで布のように仕上げたステンレスクロスというのがあって、汚れ落としにもバーナーパッドにも使えるのですが、小さい小片が2500円と非常に高価です。
台所用品として、油汚れや焦げ付きを綺麗に落とせるグッズとして販売されているのですが、スチールウールのように金属ではないのに焦げが綺麗に落ちます。
見た目は金属っぽいんですが、触ってみるとちょっとゴワゴワした布です。フライパンを重ねるときの保護として間に挟んでおくのに丁度いいです。
3枚で194円という値段であれば、キャンプに1枚持っていって使い切ったら処分しても惜しくないですね。
重さは僅か7gです。この製品、とても気に入ったので台所で普通に使ってます。スチールウールだとガスレンジとかはなかなかこすりにくいんですが、これは面積も広くて布のように使えるのです。
これとメラニンスポンジがあれば、大概のものは綺麗になるんじゃないでしょうか? これまでキャンプ道具にカットしたスポンジと小さなスチールウールを入れていたのですが、それは止めてこのクロスを1枚だけ持っていく事にしました。
実際の洗浄力ですが、流しで先ほど焦げ付いたフライパンをこすってみます。まぁ、真ん中に僅かな焦げがあっただけですから、簡単に落ちました。
ご覧の通りです。拡大すると分かると思うんですが、真ん中に少し擦ったような跡があります。これはこのクロスを導入する前にスチールウールでこすった跡です。このクロスならばこういう傷はつきませんので、コーティングも長持ちしますね。
という訳でこのクロス、非常にオススメです。自分がAmazonでステンレスクロスを見ていたときに偶然発見したのですが、まだこういう便利グッズがあるとは知りませんでした。
Ultra Light パンでご飯を炊いてみる
クッカーの性能を試すには、やはり炊飯してみるのが一番ですね。30分以上、水を吸わせたお米を16cmのフライパンに投入します。
このパンですが標準では蓋がないのですが、炊飯にはやっぱり蓋が欠かせません。うーん、どうするかな…
とりあえずガスストーブで加熱開始です。熱の伝わりがよいので全体的に熱せられていきますが、やはり蓋がないので表面の温度が低くて、十分に炊飯できないのではないか?と予想です。
フライパンの蓋は地味に嵩張りますし、ちょうどいいサイズのものがなかなか無いので、メーカーには是非オプションとして用意しておいて欲しいところです。
煮えてきました。この状態でしばらく加熱し続けます。底が平たいので熱の対流が起こりにくいようです。途中で少しかき混ぜてお米をほぐしました。
正直、この途中でお米をほぐさないと熱が伝わりにくそうだな、と感じる場合、ちょっと不出来なご飯が炊き上がることが多いです。
水が減ってきたら、流石に蓋がないと失敗確定になってしまいます。ここで大きい方のフライパンを重ねて蓋代わりにしてました。これにもっと早く気がついていれば良かった。
水が少し減ってきたら蓋をすることで、米の上部にもしっかり熱を入れることができます。また蒸らしで熱が入って綺麗に炊き上がるので、蒸らす時はもちろん蓋が必要です。
水分が飛んだら火を消して、上にフライパンを重ねた状態で10分以上放置して蒸らしましょう。蒸らす工程でしっかりと熱を維持することで、お米が綺麗にαデンプン化し美味しく食べられるようになります。
綺麗に炊飯できているように見えますが、やはり蓋をするのが遅かったようです。一部、綺麗にαデンプン化しなかったお米が混じっていました。
まぁ、食べられないほどではありません。熱の周りが早いので、もう少し水を多めにして、今よりも早いタイミングで蓋をすれば綺麗に炊飯できそうです。
フライパンで親子丼を作る
蓋として活躍してた18cmのフライパンで親子丼を作りましょう。タマネギを切って、ダシ醤油で煮ます。肉はホテイの焼き鳥のタレ味をタレごと投入します。
丼物は焦げ付きやすいのと、全体に熱を通す必要があるのでチタン製のクッカーでは難しい料理です。しっかりと米が美味しくいただけるので、良い料理なのですが。
タマネギに火が通ったら溶き卵を入れて、蓋をして蒸して…あー、蓋がありません。やっぱり蓋は揃えないとダメですね。100均とかでも手に入るんですが、蓋だけでこの軽量フライパンと同じぐらいの重さがありそう。
しかたないので玉子は炒り卵状態にして、先ほど炊いたご飯の上のオンしてみました。ちょっと固めだったご飯も、親子丼の玉子とダシを吸って、少し柔らかくなったようです。美味しく頂きました。
フライパンがあると料理は楽しい
チタンクッカーのストイックな感じも好きなんですが、やはり普段家庭でやっている料理をキャンプでも同じように作るにはフライパンが必要だと感じますね。
ソロでは16cmのパンに何とか軽量な蓋を揃えて、あとはお湯を沸かすためにシエラカップが1つあれば十分かも?と思いました。ただ、フライパンはガスストーブ以外の燃料では使いにくいかもしれません。
いや、これはフライパンが…というよりは、フライパンがあるからこそチャレンジ出来る様な料理はちゃんと火加減をしないとダメっていう事なんでしょうね。