今年から始めた自転車ツーリングキャンプ、略してジテキャンでございますが、色々と道具を試しているので、そろそろレビューしてみようと思います。
料理好きという事もありまして、増えるのが火器とかクッカー、ナイフの3点。なかなかキャンプに行けないので、家で色々と試していますが、まずは一番重要な火器について考察してみます。
ジテキャンと相性がよいのはガス?
ジテキャンの場合、普通のアウトドアキャンプとは異なる点がいくつかあります。まずキャンプ場は自転車で行けるところでなければなりません。となると登山キャンプとは異なり、割と人里の近いキャンプ場を利用することが多くなります。
そして自転車の場合、積載量が限られます。道具はUL(ウルトラライト)な物が一番ですが、お値段も高いのでバランスの見極めが大切でしょう。そもそも調理には重きをおかない、と割り切ってしまえばバッサリと削ることが出来るのが調理関係の道具です。
オートキャンプの場合、積載量には余裕があるので家から必要なものは全部持っていけばいいですが、自転車の場合にはテント設営後の自転車という機動力があります。なので、現地調達は得意ですし、コンビニやスーパーが近くにあったりすると燃料が色々と調達出来るわけです。
燃料調達のしやすさとしては、まずトップはガスのCB缶、いわゆるカセットガスですね。これは殆どの場所で入手可能です。次に炭、固形燃料などのバーベキューで使うための燃料です。ここまでは苦労なく現地調達出来ると考えてよいでしょう(100円ショップがあれば確実)。
アルコールはドラッグストアで調達可能ですが、コンビニやスーパーには置いていません。OD缶のガスボンベはなかなか現地調達が難しい燃料となると思います。キャンプ場によっては販売用に置いているかもしれません。この辺は自転車の機動力でも事前に調達出来そうなお店に当たりをつけておかないと入手出来ません。よってイザという事を考えると、持参したいところです。
実際に調理するときの火力調整のやりやすさ、燃料の調達のしやすさ、などを考えるとジテキャンと相性がいいのはやっぱりガスということになるでしょう。特のソロのジテキャンは自分が持っていく道具で完結することが大原則です。誰かが持っていく物を期待して軽量化するのは主義に反します。
手持ちのガスストーブを比較してみる
最初は昔アウトドアにハマっていた時に購入したプリムスのP-153です。10年ぐらい前に買ったのですが、見た目は格好いいしコンパクトだしということで、未だに現行商品なのですね。ただ現行商品は改良されています。
手のひらに載るサイズで99gというのは優秀ですが、実はこれ点火装置を外してます。またガスの調整つまみが溶けてます。このモデル、点火装置がイマイチでございましてすぐ壊れます。また現行モデルはガスの調整つまみが溶けないように、ツマミの上にガードが取りつけられています。
という訳で、P-153は優秀で格好いいんですが、多分もう使う事はないでしょう。後述するガスストーブの方が優秀だからです。
次は買ったばかりですが、SOTOのウインドマスターに別売りのゴトクを取りつけたものです。なんと86gしかありません。風に強い構造で点火装置も確実に動作するのに86gという軽量っぷり。
ここまでの2つのストーブはOD缶のボンベに取りつけるタイプのものですが、OD缶を持っていくならばウインドマスターを持っていくでしょう。どちらも8000~9000円とお値段が高いのがネックです。
ちなみにAliExpressにこのモデルとソックリのコピー品があります。点火装置がついていませんが、お値段が1500円しないです。ウインドマスターの別売りのゴトクも取り付け可能でした。明らかにコピー品っぽいのでここでは紹介しません。
あとSOTOのマイクロレギュレーター搭載モデルはガスの火力調整が非常にやりやすいです。もちろんコピー品にはマイクロレギュレーターは搭載されていません。
P-153とウインドマスターはそれぞれのメーカーのフラッグシップなストーブということもあって、よく比較されています。個人的には使いやすさ、音の静かさ、耐風性などウインドマスターが全て置いて勝っていると感じます。
ただ、コンパクトさだけは上の写真の右にあるとおりP-153の方がコンパクトです。ウインドマスターはゴトクを取りはずせば、もっとコンパクトに収納出来ます。ただ、面倒なんでゴトクを付けたまま持ち歩いちゃってますね。
P-153は火力を強くするとかなりウルサイですし、火も中央に集中してしまっています。YouTubeのレポートなどを見てもP-153よりウインドマスターの方が早くお湯が沸くというレポートが多いですね。
大本命はSOTOのCB缶が使えるST-310か?
しかし、自分がジテキャンに一番ピッタリだと思っているストーブはSOTOのST-310です。ご覧の通り、CB缶(カセットガス)が使えます。マイクロレギュレーター搭載でゴトクもしっかりしています。
自分が買ったのはAmazon限定の黒モデルで、それに点火アシストレバーを取りつけて、ゴトクにはシリコンチューブを石けん水を付けて通してあります。最近、自宅のテーブルの上で卓上コンロとしても活躍してます。
なにせ燃料が普通のカセットガスですから、普通の成分のガスなら一本100円です。OD缶なら普通の成分のガスで同じ容量だと3~4倍の値段となります。
アシストレバーと脚に通したチューブをそのままで同じように折りたたみできます。アシストレバーは標準装備にすべきでしょう、っていうぐらい使い勝手がよくなります。また脚のチューブを取りつけていないと、ゴトクが熱せられた熱がそのまま下にも伝わってしまいますので、シリコンチューブも必須装備だと思っています。
見るからに大柄なストーブですが、マイクロレギュレーターが搭載されているので火力調整がしやすいです。ウインドマスターほど風には強くないので、風が強い日には何かしら風防があるとよいですね。
ゴトクが安定しているため、普通のカセットコンロ並に使い勝手がよいです。重心も低いのでOD缶の上に取りつけるストーブより安定性があります。その分、テーブルの上のスペースは食いますけどね。
重さは363gと、前述のストーブの4倍近くの重さがあります。ただし、CB缶は現地調達が可能ですから、ガスを持っていかない前提で重さは計算しないといけません。真冬だとCB缶のノーマルガスは火力が落ちますが、ジテキャンの場合にはガチの冬山とか行きませんからね。
ちなみに寒冷地でも使えるパワーガスですが、OD缶にもCB缶にもあります。OD缶を売っている場所にはパワーガスは必ず置いてますが、CB缶用のパワーガスの現地調達はホームセンターなどでも無い限りは難しいと思います。
ガスの重さを込みで考える
ちなみにCB缶とほぼ同じ容量のOD缶である250gのものの重さを量ってみると、377gでした。これはノーマルガスのOD缶です。丁度、ST-310本体と同じような重さです。
つまり、ST-310を持っていってガスを現地調達して、現地で使いきれば行き帰りでガスを持ち運ぶ必要がありません。ST-310本体だけ持っていけばよいので、250gのOD缶とOD缶用のストーブを持っていくよりも少なくとも行きは軽量化出来る訳です。
ちなみにCB缶ですが、SOTOのCB缶の容量は240gです。重さはOD缶とあまり変わらないですね。約350gを持ち歩かなくて済むのは助かります。
ちなみにOD缶を使うならもっと容量の少ない小さいガスと組み合わせれば、ST-310本体だけを持っていくよりも軽量化が可能です。ただ、OD缶のガスは切れてしまうと現地でストーブが全く使えなくなります。小型のガスは油断していると割とあっと言う間に使い切ってしまうため、夜と翌朝の食事のことを考えるとちょっとセーブして使う必要がります。
CB缶は240gもガスがあるため、夜と朝の2回の利用なら相当リッチにつかってもガスは足ります。朝などは他の人のお湯を沸かしてあげると、回りからも感謝されるでしょう。という訳で、ジテキャンにはST-310が使い勝手の良さ、安定性、トータルでの軽さなども考えると、ガスストーブの中では最も良いと私は考えています。お値段も他の機種より安いですし。
もっと軽量化したいならガス以外の燃料に目を向ける
キャンプ地での調理にこだわるならば、ガスの火力調整のやりやすさは他の燃料のストーブよりも明らかに優位です。特に炊飯をするのであれば、ガスが最も楽でしょう。
しかし、お湯を沸かすだけとか、細かい事や時間をあまり気にしないで調理するのであれば、他の燃料を検討しましょう。他の燃料というと、炭、たき火、アルコール、固形燃料などがあるでしょう。
実はジテキャンと相性が悪いのが炭やたき火です。焚き火台や炭のグリルなどは重量が重い商品が多く、クッカーが煤で真っ黒になったりして洗うのも大変です。炭なんかは100均で買ったステンレスのカゴに入れて、上に同じく100均で買った焼き網でバーベーキューとかをしたことがありますが、これは翌日に網やカゴが捨てられるキャンプ場でないと辛いです。
という訳で、ジテキャンと相性が良いのが固形燃料、そしてアルコールということになるかと思います。
アルコールバーナーについて
アルコールバーナーは構造がシンプルで軽量、火が燃える様をみるのが楽しいということで一定のファンが居ます。ただし、熱効率や最終的な重量や扱いやすさでは100均で買える固形燃料(カエン)には敵わないようです。
それでも何ともいえない魅力があるので、自分もいくつかバーナーを買ってみました。
見るからにそっくりなバーナーですが、左がエバニューのチタンアルコールストーブです。右が中国製のコピー商品です。手前のゴトクも中国製のコピー商品です。
AliExpressにはこういうコピー商品が沢山並んでます。特にチタン製の製品が1/3ぐらいの値段なので、ついつい試したくなります。ですが、実際には微妙な差があります。
エバニューのチタンアルコールストーブは36gしかありません。実は持った感じでも差が分かるほど、コピー商品よりこちらの方が軽いです。
中国製のコピー商品。値段は半分ぐらいですが、重さは10g重いです。今度、クッカーのレビューをやるときにも比較しますが、中国製のチタン製品でコピーっぽい商品は、必ず元の商品よりも少し重かったりします。
この手のチタン製のコピー商品ですが、アルミやステンレスよりは流石に軽いんですが、チタンという割にはイマイチ軽くないのです。チタンは丈夫なので肉薄でも強度OKというのが軽い製品が作れる理由なのですが、安いコピー商品はその辺の加工コストをケチっているのか肉厚な製品が多いように思います。
チタンは熱伝導率が悪いため、ストーブはともかくクッカーとしての性能はアルミに劣ります。やはりチタンの魅力は軽いところであって、軽さでイマイチということであれば熱伝導率がよくて安価なアルミの苦かK-を選んだほうが使いやすいです。
ちょっと話が脱線しましたが、このアルコールストーブは軽量で火力が強いんですが、一度火を付けると消すことがかなり難しいです。強く息で吹いたぐらいでは火は消えません。
もう一つ持っているのが、固形燃料のゴトクしてもつかえるな~と思って購入したのが、バーゴ チタニウム トライアドXEストーブT-207です。真ん中の皿にアルコールを入れてプレヒートすればアルコールバーナーとしても使えますし、皿を取り出して固形燃料の台としても使えます。
重さは50gで非常に工作精度が高くて綺麗なのですが、お値段が5000円近くします。またアルコールはあまり沢山入れられず、火が消えても簡単にアルコールが継ぎ足せません。エバニューのアルコールストーブは一発で火が付きますが、これは周囲にアルコールを垂らしてプレヒートしないと燃焼が始まりませんし、火力もエバニューのアルコールストーブに劣ります。
ほんと今日はカップ麺の為のお湯をわかせればいい、とか、コーヒーの湯が沸かせればいいっていう事なら、このストーブでも十分かもしれません。アルコールストーブというよりは、固形燃料の燃焼用の皿としての用途として使う事の方が多いですね。
アルコールストーブや固形燃料を使う時に重宝しているのが、エバニューのチタンのマルチディッシュです。鍋敷き、固形燃料を使う時の受け皿、カップのフタなど多用途に使えます。
一枚当たりはとても軽量です。わずか14gしかありません。使い勝手が良いので、自分は2枚持ち歩いてます。アルコールバーナーや固形燃料を使う時の下に敷いて鍋敷きとしても使えますし、食材を入れる皿としても使えます。またクッカーのフタとしても使えます。
アルコールストーブの難点について
アルコールストーブですが、燃料はドラッグストアで買えます。500mlで300円程度ですから、燃料としてはリーズナブルです。ただ、火力を考えるとカセットガスであるCB缶に劣るのは勿論、固形燃料にも劣ります。
ジテキャンの場合、ドラッグストアがあれば燃料は買えるので、重いアルコールは持たないでストーブだけ持っていけば大幅に荷物は減らせます。ガスストーブはST-310の本体のみ、OD缶+ストーブで400g弱の荷物が必要となりますが、アルコールのバーナーだけであれば50g以下で済むわけです。
ちなみに家からアルコールを持っていったとしても、ガスよりは大幅に荷物は減らせます。これは固形燃料でも言える事で、ダイソーで25gの固形燃料3個入りが100円で売っています。1個で20分ほど燃焼しますので、アルコールと同じく超軽量です。途中に100円ショップがあれば確実に買えます。スーパーでも置いていることがありますし、アルコールより入手性は上かな。
コンパクトで軽量なアルコールストーブおよび固形燃料ですが、難点は「火力の調整が出来ない」「途中で火を消すのが難しい」「ガスよりも風に弱くて火力自体も弱め」というところですね。前者は炊飯をしたり焼き物をしたときに火力の調整が出来ないために結構苦労します。
またこれらのストーブは風防が必須です。しっかりした風防は100gぐらいの重さがありますし、ペラペラのチタン製の風防は超軽量ですが使い勝手は悪いです。
エバニューのアルコールストーブの場合、火が大きく広がるのでバーナーパッドが合った方が火力は安定します。バーゴのストーブもゴトクがやや広めで小さなクッカーが載せにくいので、これが必要になります。
写真のはユニフレームのバーナーパッドですが、こんなステンレスの網が1000円もする上に50gとあまり軽くありません。ST-310などのガスストーブの場合、この手のパッドは不要です。同社のマルチロースターを持っていって網の部分をバーナーパッドとして代用した方がトータルでは軽量化になります(ロースターとしても使えますし)
エバニューのアルコールストーブを燃焼させたところ。かなり火力はありますが、火が大きく広がる上に風で揺らめくので、やっぱり風防とセットで使いたいです。火を付けてすぐに安定して最大火力になり、燃料が減ってくるとちょっと火力が弱くなり燃料切れでスパっと消えます。
火力調整が出来ないので湯沸かしなどには十分に使えますが、炊飯や焼き物などの火力調整が必要な用途には向きません。立ち上る火を見るのは楽しいですが、キャンプしている感じがあっていいんですが、これをメインの火器として使うのは結構割り切りが必要かな?と思います。
メインの火器とサブの火器
ちなみに固形燃料ですが、1個で20分ほど燃えます。アルコールストーブよりも簡単な構造の台があれば燃焼できるので、更に軽量化が可能です。火力もありますので、自転車でウルトラライトを目指すならば固形燃料を極めたほうがいいかもしれません。
固形燃料は最初勢いよく燃えて、徐々に火力が弱くなってきます。この感じが炊飯にピッタリという事もあって、これ一個で一合の米の炊飯をするのに丁度良いです。ただし、風の影響を受けるので、ちゃんと風防をしてあげないと火力が足りずに、米が生煮えになってしまいます。
アルコールも固形燃料もCB缶並みに燃料費が安いので、家で色々と試せるところが楽しいです。ただし、室内では風がありませんから、屋外での利用時には火力は少し割り引いて考える必要があると思います。
自分はガスストーブを調理のメインに据えて、サブでアルコールか固形燃料を使うという風にしています。ガスストーブで焼き物をしながらビールを飲んでいる脇で、お湯を沸かしたいときなんかにはアルコールか固形燃料を使います。まぁ、実際にはガスのみで事が足りてしまうのですが、それだけじゃつまらないですし。
田村編集長などは固形燃料をメインの火器に据えてやりくりしてますが、その装備はまさにウルトラライト。自分は調理も楽しみたいのでガスストーブをメインにしていますが、この辺の各自のキャンプのスタイルが反映されるのが面白いところです。
本当はキャンプ場で色々と試したいのですが、もっぱらテストは自宅でやってます。屋外でないと分からない事も多いんですが、基本的なところは家で使ってみても分かりますし。やはり炊飯をテストしてみるのが、ストーブおよびクッカーを試すのに一番ですね。
ストーブ以外に必要なもの
前述のチタンプレートやバーナーパッドなどもありますが、絶対に必要なのが風防と着火のためのライターですね。
自分が愛用している風防はややコンパクトサイズのものです。OD缶の上に取りつけるストーブだと高さが足りないのですが、アルコールストーブや固形燃料、ST-310の風防ならこの背の低いもので足ります。
Amazonとかで数百円で買えるのもいいです。チタン製のペラペラで紙みたいな殆ど重さを意識しなくてよい風防もあるのですが、あれは使い勝手があまりよくないので、結局は重いけどこちらの製品を愛用しています。
チタン製の板を繋げた、この手の軽量な風防が出て来たら欲しいと思っているのですが、今のところそういう製品はありません。チタン製のコンパクトな焚き火台とかを風防代わりにすることも出来ますが、アルコールストーブや固形燃料ではOKでもガスストーブの風防にはなりません。もっともガスはよほど風が強くない限りは風防は要らないんですけどね。
そしてアルコールストーブや固形燃料、点火装置がイマイチなP-153、今日は紹介していないですがジェットボイルなどの点火にはSOTOのスライドガストーチを使ってます。確実に火が付けられて安全ですし、私はタバコを吸わずにライターを持ち歩かないので、これを装備に加えてます。
ガスはCB缶で補充可能ですしお手軽です。ただ、本当に軽量化を目指すのであれば、使い捨てのライターの方が軽量です。やや使い勝手を重視した贅沢な装備といえるでしょう。
最終的には自分のスタイルに合わせて決めよう
先日の大洗でのキャンプツーリングでも、各自が持ってくるストーブがみんな違っていて面白かったですね。ただ、ジテキャンではたき火をしている人は少ないですね。ゆるキャン△で有名になったメタル賽銭箱は重いですし、クッカーが煤だらけになってしまうのがやっぱり辛いです。
固形燃料、アルコールも使い方によっては十分にメインの火器として使えると思います。自分はST-310が一番合っていますが、この辺は各自が試してみて判断するのが一番かと思います。
ジテキャンは機動力があるのでキャンプ場入りした後の現地調達が可能であること、あまり沢山の荷物を持っていけないことをオートキャンプや登山キャンプとは異なります。現地で調理するものも人によって違いますので、クッカーも合わせて色々と試すのが楽しいです。
という訳で次回はクッカー編を予定しております。