チューブレスのススメ

自分はもう1年ぐらいタイヤはチューブレス(以下TL)を中心に使ってましたが、クリンチャー(以下WO)に対して色々なメリットがあることが分かりました。ただし、チューブラ(以下TU)タイヤは試したことがありませんので、それはご了承ください。

写真はシマノの定番ホイールWL-6700とHutchson Fusion3というTLタイヤです。このホイール、コストパフォーマンスが非常に素晴らしい上にWOとTLの両方を使えるのです。最初にホイールをアップグレードする選択肢として有力ですが、TLタイヤを使わずにWOタイヤで使っている人が多いです(私も最初そうでした)。自分が1年TLタイヤを使ってきた結果、いろいろな事が分かったのでちょっとまとめておきます。

TLタイヤはメリットが多く、私は必ず今後普及していくものと考えています。若干の価格差はあっても、WOとTLの両方が使える2Wayのホイールを選んでおいたほうが良いと考えています。人によっては2Wayは値段が高く、TLに対応させるためタイヤのビードを引っかけるリムの部分が深くてWOタイヤがハメにくくなるので敬遠する人が居ますが、これはちょっともったいないと思います。という訳でTLのメリットをつらつらと書いておきます。

【チューブレスって取り付けが大変】

TLタイヤを初めてホイールに取り付けるときに感じる絶望感。タイヤレバーを使わずにハメないと空気漏れするから素手で取り付けてください、と説明されているので素手で格闘するものの全然リムに入らないという経験です。ハメやすくするために石けん水を塗ったりするので余計に手が滑って上手くリムにハマらないし、石けん水ってそもそもなんのために必要なの?と疑問にも思ったりします。そして何とか気合いでハメたのに、空気を入れても一向にビードが上がらずにスカスカと空気入れと格闘したりと、とにかく初めてのTLタイヤの取り付けは大変なんです。

この経験から「TLは大変」「出先でパンクしたらどうする?」という不安に繋がり、一度TLを試した人の多くが継続して使用するのを諦めてしまうのではないでしょうか? そしてWOと同じ感覚で運用していたらTLのメリットは分かりませんから「苦労して取り付けたのに、WOと大差ないなー」という事になり、これからTLタイヤを試して見ようという人に対して「一度試したけど、大差ないのに運用が大変だからTLなんてやめたほうがいいよ」と広めてしまい、余計に普及しないのではないでしょうか?

このようにTLタイヤは取り付けの大変さが普及を阻んでいるのです。ここはメーカーがもう少し啓蒙活動を頑張って欲しいと思いますし、一部のホイールとタイヤの組み合わせで「これホントにハマるの?」という厳しいものもあったりします。製品もロットによって最近はハメやすくなったというようなものもあります。上の写真はHutchson IntensiveというFusion3の耐久度をアップさせたタイヤですが、これはFusion3より簡単にハマりました。で、Fusion3も最近のロットのものは一年前に購入した物よりもアッサリとハマるようになっていて驚きました。

チューブレスの取り付け方のコツについては、今後記事にしようと思いますので、この記事ではメリットについてまとめておこうと思います。

【チューブレスはパンクしにくい】

TLはその名の通り、チューブがありませんのでWOタイヤのパンクの大きな原因であるリム打ちパンクが発生しません。更にタイヤ内にシーラント剤というパンク時に内側からパンクの穴を塞いでくれるものを使えるので、小さな刺し傷であれば瞬間的に塞がってしまいます。これはWOタイヤにはないメリットなんですが、長期的に使わないとこのメリットは分かりにくいと思います。

【チューブレスって走行性能はどうなの?】

チューブラとは比較したことがないですが、構造的にはチューブがないTLがWOに対して原理的に劣ることはないハズです。よく言われるのは「転がり抵抗が低い」とか「乗り心地がよい」と言われています。後者の乗り心地がよい、はリム打ちパンクをしないことから空気圧を低めで運用しても問題がないことから来るメリットで、これは確実に実感出来ます。自分のような重量級ライダーの場合、WOではリム打ちパンクを避けるための保険として、やや高め(7、8bar)の空気圧にしていますが、チューブレスはそれよりも1bar低くても運用出来ています。

乗り心地がよい→お尻への攻撃性が低いということで、ロングライドは確実に楽になりました。

【パンクしにくいっていうけど、もしパンクしたらどうするの?】

まずよほど大きなサイドカットによるパンクでもない限り、チューブレスは空気が一気に抜けたりしません。なので騙し騙し2、30kmぐらい走れてしまいます。家の近所のトレーニングならば、家まで無事に帰れる距離ですし、ロングライドならば自転車屋や落ち着いて修理出来るところや輪行で帰れる駅まで十分移動出来ます。自分はチューブレスでパンクをしても、出先で直したことは一度もありません。とりあえず何とか帰宅したり、輪行できる駅まで移動して事なきを得たというという経験があるだけです。

ちなみにTLのパンク修理は専用のパッチをタイヤの裏から貼るので、出先での修理は諦めた方がよいと思います。Panaracerからゴム片を外から突っ込んで簡易的に穴を塞ぐキットがありますが、アレはMTBのタイヤ用であり、ロードのタイヤでアレを使うとパンク穴を広げてしまうのです。MTBよりも高圧でゴムの面積が狭いロードのタイヤでパンク穴を広げると、裏から専用パッチで修理しようにも穴が塞がりきらずにタイヤをダメにしてしまいます。

私も以前使ってあっという間にパンクが修理出来るし、こりゃいいや!と思いました。他のBlogで検索してみてもこのキットが便利という人がチラホラいるのですが、ロードのタイヤには使わない方が無難です。私の場合、単なる刺し傷のパンクの穴を広げてしまい、裏からパッチを貼ったのに、ここを起点として徐々に空気圧が抜けるようになってしまいました。

【チューブレスは携行品が減らせるヨ】

TLは空気圧が低めでも運用出来るので、出先で空気を入れるのには上の写真のような小さなポンプで十分です。WOだと6barぐらい入れてないと不安なのですが、TLならば5barも入れば十分安心して走れちゃいます。携帯ポンプの場合、5barぐらいまで入れるのと6bar入れるのでは要求されるポンプの性能が大きく違います。何か空気圧減っているなーと気がついたら、このポンプでシュカシュカと空気を足せば、応急処置ではなく性能走行を損ねる事なく走れます。ちなみに比較のために真ん中に愛用している携帯ツールを並べてますが、このサイズのポンプならサドルバッグに余裕で入ります。

チューブを入れているのは、シーラントで塞がらないような大穴が空いたときの応急処置用として持ち歩いてます。TLはバルブを取り外してしまえば、チューブを入れてWOと同じように運用出来るからです。とはいえ、自分は一度もこのチューブを使ったことありません。という訳で朝練などで家の近隣で乗るぐらいならば、この携帯ポンプ1個あれば十分かな?と思います。

WOならパンクしても5分で直せるし、トラブルに強いぜ!という意見もありますが、WOはパンクするとあっという間に空気が抜ける事が多く、修理出来る場所まで押して歩いて道具を取り出して直したりしたら、結局15分ぐらい掛かりません? 特に雨降ってたりすると、15分も停まるのは結構苦痛です。ちょっと空気を足して、騙し騙し走れるTLのメリットは非常に大きいのです。

【でもブルベとか見たいな超ロングライドでTLを使うのは不安じゃない?】

サイドカットするようなトラブルでも直して完走したい、という様な人は大体予備のタイヤを1本ぐらい持ち歩いているのでは?と思います。自分はブルベの時には予備タイヤとしてはWOタイヤとチューブを一組荷物に入れています。流石に新品のTLタイヤを出先で石けん水もなくハメる自信はありません。こういう時は素直にWOタイヤにチェンジで良いでしょう。幸い、今まで一度も出番がありませんし、これまでに出場した200km、300kmのブルベを一回ずつTLタイヤで出場しましたが、ノントラブルでした。過去にWOタイヤで出場してのパンクは2回ありました。

【シーラントとか入れるとローテーションとか大変じゃない?】

ロードのタイヤは後輪の方が減りやすいので、たまに前輪と後輪のタイヤを入れ替えて減りを平均化するような運用をすることが多いです。WOタイヤの場合、これは簡単なんですが液状のシーラントを入れるTLタイヤの場合は面倒です。これはもう割り切って「リアが限界まで減ったらリアタイヤのみ交換する」という運用で乗り切ってます。えー、いろいろなタイヤが試したいから2本の寿命が一緒に来ないのは困る、という意見もあるでしょうが、悲しいかなTLの場合、悩むほど銘柄が無いです(笑)

<続く>